自動詞/他動詞の知識と基本的な語彙力で即答する!:『公式TOEIC Listening & Reading 問題集5』の良問

『公式TOEIC Listening & Reading 問題集5』(国際ビジネスコミュニケーション協会, 2019年)でとても参考になる良問を見つけました。「TEST1 PART5」の118(p. 43)です。分かりやすくなるよう、選択肢を少しだけ改変したうえで、解説してみたいと思います。

次の英文の空所に入る語として適切なものを選びなさいとして、選択肢が4つ提示されているとします(実際は、上の118では、選択肢(A)がenlargeです。以下の解説の大勢に影響はありません)。

The intersection of Wallace Avenue and Third Street will —— open to pedestrian traffic during construction.

(A) encourage
(B) secure
(C) transform
(D) remain

この問題を解く鍵になるのは自動詞/他動詞の知識と基本的な語彙力です。(A) encourageは「~を元気づける、励ます、促進する」、(B) secureは「~を確保する、安全にする」(secureには形容詞(安全な、安定した)の用法もありますが、助動詞willの直後であるなどのため、空欄には動詞が入ると考えねばなりません)、(C) transformは「~を変形させる」、(D) remainは「~のままである、残る」という意味の動詞です(remainには名詞の用法もありますが、(B) secureと同様、この場合は動詞だと考えねばなりません)。

(A)~(C)の3つは目的語を取る他動詞です。簡単に説明すれば、例えば以下の例文1のように、「~を」を必要とする動詞が他動詞だと覚えれば良いです。

1. He encouraged me to try again.(彼はもう一度挑戦するよう私を励ました。)→encourageは他動詞、meが目的語です。

ただし、動詞と「~を」のような意味を表す語が一緒に用いられている、イコール常に動詞と目的語、とは限りません。例えば次の例文2をご覧ください。

2. You should not run in the hall.(廊下を走るべきではありません。)→日本語で考えた場合「廊下を」でも、runはこの場合自動詞、in the hallは動詞runを修飾する副詞句です。

例文1でmeをカットし、“He encouraged to try again.”のようにした場合、彼が誰を励ましたのかが不明で(さらに言えば、もう一度挑戦するのが誰なのかも不明で)、文が成立しません。一方、例文2でin the hallをカットし、“You should not run.”としても、意味は変わってしまいますが、文としては成立します(※)。また、例文2は「廊下で走るべきではありません」とも訳せます。以上の違いがあります。

※ただし、副詞的修飾語句の中には次の例文3のin Tokyoのように、カットすると文が不自然になったり、意味をなさなくなるものもあります。削除することのできない副詞的語句を、修飾語句(Modifier)と区別して、付加語(Adjunct)と呼ぶことが多いです。

3. He lives in Tokyo.(彼は東京に住んでいます。)

選択肢のうち、(D)だけが目的語を取らない自動詞です。(A)~(C)(他動詞)と(D)(自動詞)の区別さえできれば本問は解けたようなものです。(D)をまず除外して(A)~(C)のどれかから選ぶと考えた場合、動詞の直後のopenが目的語(名詞、代名詞、名詞相当語句)になりそうです。確かに、openには名詞の用法もありますが(「空地、 樹木のない地」などの意味を表します)、それだと文の意味が不明になります。他動詞(A)~(C)でなく、自動詞(D)を入れると意味が明らかになります(「Wallace大通りと三番街の交差点は、工事期間中、歩行者に開放されたままになります」)。

各選択肢や、例えばintersection(交差点)、pedestrian(歩行者。pedestrian trafficは、直訳すれば「歩行者の通行、歩行者の往来」ですが、これら2語をひとまとめにして「歩行者」と訳しても良いと考えます)、construction(建設、工事)などの問題文中の単語の意味を知っていることも確実な正答には欠かせません。語彙力が中途半端だと、「construction(建設、工事)と問題文に書いてあるから、何となく、(B) secure(~を確保する、安全にする)や(C) transform(~を変形させる)かな?」と思ってしまうかもしれません。

まとめると、冒頭に書いたとおり自動詞/他動詞の知識と基本的な語彙力が鍵だといえます。本問を好例にして、似たパターンの問題も即答できるようにしたいところです。

 

 

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