比較級に定冠詞theが付く場合

※2023.09.06追記:旧エントリー「最上級の直後のever」の内容は、このエントリーおよび以下のエントリーに、大きく加筆しつつ、整理・統合・分割しました。最上級の直後のeverについては、このエントリーの最後に解説しています。

名詞の繰り返しを避けるthat, those(that of, those ofなど)

絶対比較級って知ってますか?

er, estの比較変化をする語にmoreを使う場合:同一の人や事物の比較

最上級に定冠詞theが付かない場合

2つの人や事物を比べて、一方がもう一方よりも程度が高い/低いことを表す比較級は、“A is … er [more …] than B.”(程度が低いことを示す場合は“A is less 原級 than B.”)が基本です。

その比較級に定冠詞theが付く場合があります。本エントリーでは、この点について整理します。

1.「2者のうち一方のほうがより…」

「2者のうち一方のほうがより…」の意味の場合、以下の例のように、the+比較級の形を取ります。

Who is the stronger of the two? (2人のうち強いのはどちらだ?)

Which is the less famous of the two? (2つのうち人気がないのはどちらだ?)

日常的な文では最上級が使われることもよくあるとされます(『英文法解説』改訂3版,金子書房,1991年,p.174.同旨、『ロイヤル英文法』改訂新版,旺文社,2000年,p.361)。

Who is the strongest of the two?

なお、「2者のうち一方」でなく、会話で、“This way, it’s more easier to see.” (こうすればもっと見やすい)のように、erにさらにmoreを付ける例を見かけることもありますが、非標準で無教養と非難されることが多いので避けるべきだと『ロイヤル英文法』(改訂新版,旺文社,2000年、p.350)が指摘しています。

2.the+比較級、the+比較級

「the+比較級、the+比較級」で、以下のように、「…すればするほど~」という意味を表します。

“I should prepare for the entrance examination.” “The sooner, the better.” (「入試の勉強をしなきゃ。」「早ければ早いほどいいよ。」)

The more you have, the more you want. (多くのものを持てば持つほど、ますます欲しくなる。)

『ロイヤル英文法』(改訂新版,旺文社,2000年,p.361)などは、「the+比較級」単体でも「それだけ一層…」の意味になる点を指摘しています。

I was the more upset because he blamed men for the accident. (彼がその事故を私のせいにしたので、私は余計ろうばいした。)

なお、“The more you study, the more easy it is to pass the examination.”(勉強すればするほど,試験に受かりやすくなるよ)のように、通常er形になる語(この場合はeasy)も、moreを付けた形になる場合があります(不規則変化をする語を除く)

3.the+比較級+because[for]…

「the+比較級+because[for]…」で、以下のように、「…なので一層~」という意味になります。

I love him all the more for his weakness. (彼に弱さがあるから、いっそう彼が大好きです。この例のように、強調の副詞allが付くことが多いです)

※上の例文を書くために、いろいろ辞典を引いたわけですが、“We all have our own little weaknesses.” (我々にはだれにでもちょっとした欠点があるものだ。『新英和中辞典』第7版,研究社,2003年)という用例に出会いました。littleが複数形を修飾しているわけです。こういう使い方もあるのかと思い,“little weaknesses”でGoogle検索すると、まあまあ多数のヒットがあります。検索をした時点では、YouTube動画なども含め、楽曲のタイトルとおぼしきものも含まれていました。

次はlittleを辞典で引いてみると、“little chairs”(小さな椅子)や“our little ones”(うちの子どもたち)などの用例がふつうにあります。これは、当サイト管理人にとっては盲点でした。単に、当サイト管理人の英語力がまだまだなだけかもしれませんが、勉強することは無数にあるなあと感じます。

なお、none the worse forで「…にもかかわらず変わらない」です。直訳は「…だからといって、いっそう悪くなった、ということはない」ですが、慣用的に先のように訳します。

He was none the worse for drinking much alcohol. (彼は大量の酒を飲んだが、なんともなかった。)

ちなみに:muchとtheの位置関係など

以下、連想される話題ということで、紹介します。比較の単元で定冠詞theといえば、最上級を連想する人がやはり多いと思います(ただし、最上級には定冠詞がつくと頭から考えるべきではなく、最上級と定冠詞theの有無にはさまざまなパターンがある点は、最上級に定冠詞theが付かない場合を参照)。その最上級はmuch, by far, far, far and away, very, everなどで次のように強調することができます(※)。それぞれ、the very bestやmuch the bestなどの語順になることに注意してください。

This is the very best of his work. (これは彼の作品のうちまさに最高のものだ。)

He is much the best player on the team. (彼はチームで最高のプレーヤーだ。前置詞onが使われ、on the teamという表現であることにも注意。onでなくinも用いられる(※※)

He is by far the best player on the team. (同上。)

He is the best player by far on the team. (同上。こういう語順がある点に注意)

He is the greatest poet ever. (彼はこれまでで最も偉大な詩人だ。(※※※))

That book was his best ever. (=That was the best book that he had ever written. その本は彼の生涯最高の傑作だった。『ジーニアス英和辞典』大修館書店,第5版,2014年.強調、当サイト管理人(※※※))

※何冊もの文法書を参照してこのエントリーを書いているわけですが、『英文法解説』(改訂3版,金子書房,1991年,p.180)のみ、最上級の意味を強める語句としてはby farが最もよく使われると指摘しています。

※※2023.08.26追記:辞典やネットを調べましたが、“He is a member of the team.”(彼はチームのメンバーです)のように、前置詞ofを用いた、a member of the teamいう表現も一般的に広く使われるようです。ただし、「最上級の後で、単数形とともに、場所や集団を指して」という条件下ではofは避けられるという意見を目にしました。
参考:https://englishwordsvocabulary.quora.com/Which-sentence-is-correct-He-is-the-best-player-in-the-team-or-He-the-best-player-of-the-team

※※※上記のように、everには、最上級の後について、それを強める用法があります。「これまでで、今までで」のような意味を成します。比較級の前後でも用いられる場合があります。その場合は「さらに一層、ますます」の意味になります。

It’s raining harder than ever. (雨がさらに一層激しく降っている。『新英和中辞典』第7版,研究社,2003年)

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投稿者: robin

robinと申します。学生時代に1回だけ受けたTOEICで945点。「初受験でたまたま高得点取れたから、「勝ち逃げ」でいいか…」みたいに思っていましたが、考えるところがあり、最近また勉強を始めました。 <TOEIC戦績> TOEIC® Listening & Reading公開テスト 自己ベスト980点 TOEIC® Listening & Reading Institutional Program (IP) online Test 自己ベスト980点 リスニング495点満点通算12回(公開テスト8回、IPテスト1回、IPテスト(オンライン)3回。通算12回中、11回は連続で495点満点) TOEIC® Speaking & Writing Tests Speaking 170 Writing 180(受験回数1回。今後もっと受けたいです) IIBC AWARD OF EXCELLENCE 受賞 <その他> 英検1級 日本翻訳連盟 3級翻訳士(科目:和文英訳 分野:情報処理) 大学で英語科目を担当(18年目) TOEIC LR 990点を目標にがんばります。 このウェブサイトでは、自分自身のメモも兼ねて、TOEICのスコアアップに役立つ情報や英語全般について書いていきます。 将来はTOEIC以外の英語に関する話題についても書きたいです。そうなったら、サイトのタイトルも変えるかも。

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