君はsay, speak, talk, tellの違いを説明できるか?

say, speak, talk, tellの違いを説明できますかと聞かれたら、あなたはできますか?

優れた辞典として定評のある『ジーニアス英和辞典』(大修館書店,第5版,2014年)は次のように解説しています。

sayは伝えるべき内容を必要とし、「言葉を発する」の意。

tellは伝えるべき内容だけでなく話し相手も必要で、「人に情報を伝える」の意。

speakは話し相手がいるかどうかに関係なく「言葉になるように音を出す」の意。

talkは話し相手が必要で「言葉を通じてコミュニケーションを取る」ことを表す。

こうした解説は興味深いですし、さらに、各辞典や文法書を比較してみると面白い発見があるかもしれません。

が、各種の英語資格試験などでsay, speak, talk, tellの違いを問う場合、どういう問題が出るかはおおよそ相場が決まっています。例えば次のような問題です。空所に入る語として適切なのはどれでしょう?

He —— me good night. (彼は私にお休みを言った。)

(A) said (B) spoke (C) talked (D) told

正解は(D) toldです。tellは第4文型SVO₁O₂をつくることができます。その際、「…に」に当たる最初の目的語O₁に人を、後続の目的語O₂に事柄を取り、「人に…を話す」という文を成立させることができます(※)。

※なお、ややこしいですが、この最初の目的語O₁が間接目的語。後続の目的語O₂が直接目的語です。

そのほかの選択肢say, speak, talkはいずれも、基本的に、人を目的語に取りません。例えば、He said me good night. とはいわず、He said good night to me. と表現します。同様に、say, speak, talkに関しては次のような例文が正しいです。

He said good night.

He said, “Are you tired?”

He said to me, “Are you tired?”

“Hello! May I speak to Nancy?” (電話で)「もしもし、ナンシーさんはいらっしゃいますか」

She speaks English fluently.

Who are you to talk to me like that? (そんな口の利き方をするなんて何様なの?:決まり文句。大学受験参考書でよく見かける印象があります)

人を目的語に取るのはtell. say, speak, talkはtoが必要」「tell人,say to人, speak to人,talk to人」「tell人。ほかはto 人」と、何回も暗唱して覚えましょう。多少無理やり?かもしれませんが「アルファベット順に4つを並べたとき、人を目的語に取るのは最後の4つ目のtell」と覚えても良いかもしれません。…改めてこう書いてみると無理やりな覚え方かもなあとも感じますが、ともかく覚えることが資格試験の合格や、英語を使いこなせるようになることのきっかけ、とも言えますので、なりふり構っていられないようにも思います。

なお、「say, speak, talkはいずれも、基本的に、人を目的語に取りません」と上に書きました。ところが例外(のように見える事項)もあり、

I talked my father into buying me a camera.

父を説得してカメラを買ってもらった。(=I persuaded my father to buy me a camera. 『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年)

上のような形で人を目的語に取る場合もあります。talkを辞典で引くといくつか載っていますので、興味があれば覚えておきましょう。

また、

He said he’ll be back tomorrow. (彼は明日帰ってくると言った。)

上の例文では、saidとheの間のthatが省略されています。その結果上の文になるわけで(上の文に問題はないわけで)、sayの次に人は来ないとは言えません。あくまで、sayは人を目的語に取らない、と言えるのみです。

2023.09.06追記:このエントリーでは、上記のように、各種の英語資格試験などでsay, speak, talk, tellの違いを問う場合、どういう問題が出るかはおおよそ相場が決まっている、との前提の下、それらに話を絞りました。

このエントリーの話題に関連して、定番の文法書『ロイヤル英文法』(改訂新版,旺文社,2000年,p.395)は次のとおり述べ、例文も複数挙げています。

間接話法などで使われる伝達動詞は一般に他動詞であるが、〈目的語+目的語[節]〉のように2つの目的語をとるのは ask、tell など少数の動詞で、ほかは say to me that … のように to などの前置詞が必要である。

確かにaskも、最初の目的語O₁に人を、後続の目的語O₂に事柄を取り、「人に…を尋ねる、聞く」という文を成立させることができます。

I asked him whether he knows her. (彼女を知っているかどうか、私は彼に尋ねた。)

I asked him his name. (私は彼に名前を尋ねた。)

neither, nobody, none, nothingのどれか?を問う問題

空所に入る語として適切なのはどちらでしょうかと、次の問題があったとします。

—— of the two answers are correct. (2つの回答はどちらも不正解だった。)

(A) Neither (B) None

正解は(A) Neitherです。neitherは(二者の)どちらも~でない(=bothに対応する否定語)。三者以上の否定にはnoneを用いる、という区別があります。

TOEICは4択ですので、上のような問題は、NobodyやNothingなども選択肢に含まれてきそうです。ですが、of句が続く場合、none of…やnot one of…という表現はできますが、no one ofやnobody ofという表現はできません。例えば

None of them answered. (誰も答えなかった。)は可ですが、

Nobody of them answered. は不可です。

そのためNobodyは正解にはなりません。こういうのは一つずつ覚えていくしかないですね。

※英語のコロケーション(語の配置,連語)が正しいかどうかを調べる際に,Googleで次のように調べると参考になります。すなわち、半角のクォーテーションマーク(二重引用符)「 “” 」でキーワードを囲んでGoogle検索をすると、入力したキーワードの順番で完全一致検索ができます。本エントリーを書いている時点で“none of them”を検索すると6億5700万件ものヒットがあります。一方“nobody of them”のヒット数は64万3千件まで下がります。また、検索結果の内容を見ても、「なぜ“nobody of”はダメなのですか?」のような記事が上位に来ています。これら(桁が違うようなヒット数や、ヒットした記事の内容)からも、nobody of themではなくnone of themだと推測できます。

nothing ofという表現はありますが、「少しも~ではない」(He is nothing of a gentleman. 彼には紳士らしいところは少しもない)という意味になります。そのためnothing ofも本問の場合不可です。

※本エントリーがヒントにした設問:『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST3 PART5」111(p. 81)