Discussion —— as soon as Mr. Kato has arrived.
(A) resumed (B) will resume
空所に入る語として適切なのは、どちらでしょうか?
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正解は(B) will resumeで、「加藤氏が到着次第、議論は再開します」という意味になります(resumeは「再び始まる、再開する」)。
上の問題を解くポイントを解説します。まず、as soon asは「…するとすぐに、…するやいなや」です。ということは、時系列で考えると、“Discussion ——”は“Mr. Kato has arrived”の後に続いて起こる事柄のはずです(すなわち“Mr. Kato has arrived”の方が先に起こる事柄のはずです)。
次に、“Mr. Kato has arrived”と、現在完了が使われています。現在完了は、「経験、継続、結果、完了」などと受験英語で暗記させられたりしますが、過去に起こった動作・状態を現在と結びつけて述べる場合に用いるもので、現在に力点が置かれます(例:「昔から今までずっと…している」)。時系列で考えて、現在完了“Mr. Kato has arrived”の後に過去時制“Discussion resumed”が来るのは変です。よって、(A) resumedは正解ではありません(現在完了でなく過去完了を用い、“Discussion resumed as soon as Mr. Kato had arrived.”ならあり得ます。過去完了は過去のある時より前の動作・出来事を表し得るからです)。
ここからが重要です。
(B) will resumeが正解になるわけですが、変だと感じる方もいるかもしれません。“Discussion will resume”は未来のこと(=まだ起こっていないこと)なのに、“Mr. Kato has arrived”は現在完了であり、上記のとおり現在に力点が置かれますが、あくまで、現在とつながりのある過去の事柄です。上に述べた、as soon asの前後の時系列の話と矛盾してしまいます。
ここでポイントになるのが、タイトルの「時・条件を表す副詞節の中では、未来のことでも現在時制」です。「…のとき」や「もし…なら」という意味を表す副詞節の中では未来の事柄を表すのに現在時制を用いるのです。
定評のある『ロイヤル英文法』の例文を見てみましょう。以下の例文はいずれも、「映画が終わったら」(「時」)、「彼らがすぐここに着かなければ」(「条件」)と、時・条件を表す副詞節を伴っています。それぞれの副詞節はまだ起こっていない事柄(未来の事柄)を表していますが、未来時制でなく現在時制が用いられています。
When the movie is over, I’m going straight home. (映画が終わったら、まっすぐ家に帰ります。『ロイヤル英文法』旺文社,改訂新版,2000年,p.609)
If they don’t get here soon, we will leave without them. (彼らがすぐここに着かなければ、彼らを待たずに出発します。同上,p.621)
本エントリー冒頭の問題も、同様に考えます。意味的にはまだ起こっていないこと(未来のこと)ですが、“as soon as Mr. Kato will have arrived”(未来完了)にはならず、“as soon as Mr. Kato has arrived”と、現在完了を用います。
同様の問題が『公式TOEIC Listening & Reading 問題集7』(国際ビジネスコミュニケーション協会,2020年)の「TEST2 PART5」130(p.86)にもあります。
Until the office heating sysytem —— , employees are permitted to work from home.(オフィスの暖房装置の修理が完了するまで、従業員は在宅勤務が認められます。)
(A) will be fixed (B) is being fixed (c) has been fixed (d) had been fixed
空所に入る語として適切なのは,どちらでしょうか?
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正解は(C) has been fixedです。未来のことなので(A) will be fixedを選びたくなりますが、上で解説した考え方で、(C)が正解になります。「オフィスの暖房装置の修理が完了するまで」(暖房装置が修理されるのが完了するまで)という意味なので,has been fixedと「完了形+受動態」になっている点もつじつまが合います。
なお、あくまで「時・条件を表す副詞節の中では、未来のことでも現在時制」です。時・条件以外の意味だったり(例えばif には「…かどうか」という意味の場合が、whenには「いつ」という意味の場合があります)、副詞節でなく名詞節の場合は、未来のことに未来時制を使うことができます。
例1:Please ask Mr. Kato if he will come to the party. (パーティーに来るかどうか加藤氏に尋ねてください)
例2:I wonder when the new computers will arrive. (いつ新しいコンピュータが来るのだろう)(『ジーニアス英和辞典』大修館書店, 第5版, 2014年)
例1では、ifは「もし…なら」ではなく「…かどうか」という意味です。また、if節は「パーティーに来るかどうか」という意味の名詞節で、askの直接目的語として機能しています。
例2では、whenは「…のとき」ではなく「いつ」という意味です。また、when節は「いつ新しいコンピュータが来るのか」という意味の名詞節で、wonder(…かなと思う、…だろうかと思う)の目的語として機能しています。これらの場合、上記のとおり、未来のことにwillを使うことができます。