このエントリーでは、「5文型に例外はあるか?」という点と、「SVO to doの形を取る動詞」について述べたいと思います。
5文型に例外はあるか?
高校英語でいわゆる5文型を習うわけですが、すべての英文は5文型のいずれかに分類できるでしょうか?
この点について、以下のように、各文法書は意見が分かれています。すべての英文は5文型のどれかに分類できると述べているものもあります。
どんな複雑な英文でも、次の5つの文型にまとめることができる。(『総解英文法』美誠社,1970年,p.15)
一方で、例外を認める余地を残しているものもあります。『新マスター英文法』(聖文新社,2008年)は「たとえどんなに多くの修飾語句の付いた複雑な文でも、ふつう、この五つの基本文型のいずれかに属する」(p.15.強調、当サイト管理人)としています。
『英文法総覧』(改訂版,開拓社,1996年)は「多くの文は、5文型に還元することができ」る(p.17.強調、当サイト管理人)としつつも,「すべての文が過不足なく五つの文型のどれかに分類できるわけではな」いと論じています(p.16.同上)。
『英文法解説』(改訂3版,金子書房,1991年.同上)は「英語の文がたった5つの文型で処理できるはずはないが、基本的な構文の説明には5文型が便利である」と説明しています。
『現代英文法講義』(開拓社,2005年)に至っては「従来の5文型を再検討し、(中略)8文型を提案」しています(p.15.同上)。
SVO to doの形を取る動詞
さて、動詞には、SVO to doの形を取るものがあるので覚えておきたいところです。SVO to doについては、第5文型に含めている文法書もあれば、「一般に〈S+V+O+to do〉の形は、むりに基本5文型に分類せずにこのままの型として理解したほうがよい」としているものもあります(『ロイヤル英文法』改訂新版,旺文社,2000年,p.46.強調、当サイト管理人.同旨、『英文法解説』改訂3版,金子書房,1991年,p.331)。
以下では、実際の例文を複数示しておきたいと思います。SVO to doについては(それ以外の事項もですが)、複数の例文を何回も暗唱・暗記して頭に叩き込んでおくのがTOEIC対策としては有用だと考えます。
The management team want all the employees to be punctual. (経営陣は社員がみな時間を厳守することを望む。(『ロイヤル英文法』改訂新版,旺文社,2000年,p.46)
意味上、all the employees to be punctual全体がwantの目的語になっているとも考えられますが、all the employeesがwantの目的語(O)、to be punctualが目的格補語(C)だと見ることもできます。この旨の解説に続けて、『ロイヤル英文法上』は上のとおり,SVO to doは、無理に基本5文型に分類せずにこのままの型として理解した方が良いと述べています。
SVO to doの形を取る主な動詞の例を挙げておきますので、何度も暗唱・暗記して頭に叩き込むといいです。
He told me not to eat too fast. (彼は私にあまり早食いするなと言った。 “He said to me, “Don’t eat too fast.”と書き換え可能。参考:君はsay, speak, talk, tellの違いを説明できるか?)
I asked him to help Taro. (私は彼に太郎を手伝ってくれと頼んだ。)
※なお、askにはさまざまな用例がありますが、次の語法も大学受験英語などで見かけます。
The policeman asked me some questions.
→I was asked some questions(by the policeman).
またはSome questions were asked of me(by the policeman).
すなわち,askを用いた第4文型SVO₁O₂を受動態にする場合、目的語O₁(この場合はme)を主語にするときと、および目的語O₂(この場合はsome questions)を主語にするときとで、それぞれ上の書き方になります。O₂を主語にする際は上のようにO₁の前にofが必要です。
話をSVO to doに戻します。
I expect you to succeed. (私はあなたが成功するものと期待している。)
He didn’t allow her to go out. (彼は彼女が外出するのを許さなかった。)
His help enabled me to do the job sooner. (彼の助けのおかげで仕事が早く終わった。)
He encouraged me to take the exam. (彼はその試験を受けるよう私を励ましてくれた。)
I got my friends to help me. (友達に助けてもらった。)
※getには、SVO to doだけでなく、SVO過去分詞(「(…を)~させる、してもらう」「(自分で)(…を)~してしまう」「(…を)(~された状態に)する」やSVO doing(「(…を)~させる」)などの用法もあり、注意が必要です。このエントリーでは、SVO to doに話を絞ります。getをSVO to doの形で使う場合は、例えば、
I —— my friends to help me.
上の文にはmade, had, let, gotのどれが入るか選べ、のような問題で出がちです。前3者はどれもto doでなく原形(例えば“I made my friends help me.”など)を取るのでこの場合gotが正解です。
話をまたもやSVO to doに戻します。
I wish you to come home with me. (君に家に一緒に来てほしい。)
I know him to be a nice guy. (私は彼がいい人だと知っている。)
なお、以下のbelieveやconsiderのように、to beが省略可能な動詞もあります。一方、上の“I know him to be a nice guy.”のようなknowの用例の場合、to beは省略しません。この辺りは一つ一つ覚えていくしかないところかもしれません。
I believe him [to be]innocent. (私は彼が無罪だと信じている。)
I consider him [to be ]a great poet. (私は彼を大詩人と見なしている。)