as far as(so far as)とas long as(so long as):TOEICでは、詳しい知識が求められるかもしれない

TOEICとas far as(so far as)とas long as(so long as)

as far as(またはso far as)は、「・・・のかぎり(では)」の意味で制限・範囲を表します。

As [So] far as I know, she is the most brilliant violinist in the world. (私の知るかぎりでは、彼女はは世界で最も才能豊かなバイオリニストだ。)

I will help you as far as I can. (できるだけ力を貸そう。『新マスター英文法』聖文新社,2008年,p.540)

一方、as long as (またはso long as)も「・・・するかぎりは」の意味であり、as far as(またはso far as)と似ています。が、as long asは時間的限度などを表します。

I’ll remember it as long as I live. (生きているかぎりそのことを忘れません。(whileと同じ意味))

You can stay here as long as you want to. (君はいたいだけここにいてよろしい。『ロイヤル英文法』改訂新版,旺文社,2000年,p.623)

ここまでは大学受験でも出てくる内容で、例えばas far asかas long asかを選ばせる、ひっかけ問題的な出題を見かけます。

TOEICでも、基本的には上のとおり考えれば良いですが、もう少し詳しい知識が求められるかもしれません。例えば『公式TOEIC Listening & Reading 問題集5』(国際ビジネスコミュニケーション協会,2019年)の「TEST2 PART5」129(p.86)に、次の設問があります。次の英文の空所に入る語として適切なものを選びなさいとして、選択肢が4つ提示されています。

—— Director Miura gives his approval, we will submit the proposal tomorrow.

(A) As far as
(B) Provided that
(C) Regardless of
(D) In addition to

まず、(C) Regardless ofと(D) In addition toは群前置詞(2つ以上の語が集まって1つの前置詞として働くもの)です。前置詞は名詞や名詞相当語句の前に置かれ、形容詞句や副詞句を作りますので(節は作りませんので)、(C)と(D)は除外されます。もし(C)や(D)が入るとすると、その後にDirector Miura gives・・・と主語・述語動詞が続き、矛盾してしまいます。

そのため、正解は(A) As far asか(B) Provided thatのどちらかになります。「もしMiura部長が許可してくれれば、私たちは提案書を明日提出するでしょう」という意味になるのだと見当を付けられれば(※)、正答まであと一歩です。

このように見当を付けられるまで、英語の基礎体力・総合力を鍛えることもポイントです。この場合はdirector(取締役、重役、担当責任者、部長)やapproval(賛成、同意、承認、許可)、submit(提出する、服従する)、proposal(申し込み、提案)などの意味が分かるくらいの語彙力を身に付けていることが重要だと思います。

…ところがです。「え~っと、それって『Miura部長が許可してくれるかぎりは、私たちは提案書を明日提出するでしょう』という意味だよね?」と思い込んで(A) As far asを選ぶと不正解になってしまいます。ややこしいのですが、「もし…なら」(条件)という意味の「…するかぎりは」の場合、as far asやso far asではなく、as long as(またはso long as)を用いるのです。そのため、上の問題は(B) Provided that(もし・・・ならば)が正解になります。

as far as(so far as)とas long as(so long as)のまとめ

冒頭に挙げた事項も含め、as far as(またはso far as)、as long as(またはso long as)の詳しい用法を以下に整理します。

as far as(またはso far as)

制限・範囲

上記参照。

距離

We walked as far as / up to the edge of the forest. (森の縁まで歩いた。『現代英文法講義』開拓社,2005年,p.644を一部改変。同書のこの例文は、as far asのみを挙げ、so far asには言及していない。『英文法解説』(金子書房,1991年,p.399)によれば、この用法はso far asにはなく、as far asのみ。『新マスター英文法』(聖文新社,2008年,p.540)も同旨。ただし『総解英文法』(美誠社,1970年,p.563)は「よくas far asは距離を表し、 so far asは範囲・限界を表すといわれるが、この区別は厳密なものではない」と述べている)

距離の制限・範囲

例:As far as the eye could reach, …
(見渡すかぎり…)

※その他の注意事項

『総解英文法』(美誠社,1970年,p.308)は,「とくに、“so (or as) far as ~ is concerned”(~に関する限り)、 “so (or as) far as ~ goes”(~に関する限り)は、慣用句として記憶しておく必要がある 」と注意喚起しています。

as long as(またはso long as)

時間的限度

上記参照。

条件(if)

She may go, as long as he goes with her. (彼が一緒に行けば、彼女も行くかもしれない。『現代英文法講義』開拓社,2005年,p.675)

上記「もし…なら」(条件)という意味の「…するかぎりは」もこの用法。

時間の長さの協調(…も)

I was kept waiting as long as two hours. (私は2時間も待たされた。『総解英文法』美誠社,1970年,p.308.各文法書を読むかぎり、この用法はas long asのみで、so long asにはない)

時・条件を表す副詞節の中では、未来のことでも現在時制

Discussion —— as soon as Mr. Kato has arrived.
(A) resumed  (B) will resume

空所に入る語として適切なのは、どちらでしょうか?

“時・条件を表す副詞節の中では、未来のことでも現在時制” の続きを読む

…もまた~ない:nor,either,neither

norという単語を目にした場合、反射的に「…もまた~ない」という意味を思い浮かべる方が多いかと思います。それで正解です。一方、「eitherにも「…もまた~ない」という意味があるんじゃなかったっけ?」と思う方もいるかもしれません。それも正解です。

以上は多くの方が思いつくかもしれませんが、nor, either, neither(norと一緒によく用いられますね)それぞれの使い方について、正確に説明できますか?本エントリーではそれらについて整理します。

※nor, either, neitherは、深掘りすると、かなり細かい事項も出てきます。以下では「…もまた~ない」に関する主な意味・用法を中心に、主に基本事項について解説します。

nor

接続詞で、「AもBも…ない」「…もまた~ない」の意味を表します。以下のパターンがあります。

1. (neither または not と相関的に用いて)AもBも…ない

He neither drinks nor smokes. (彼は酒も飲まなければたばこも吸わない。)

She is neither tall nor short. (彼女は背が高くも低くもない。)

※「either A or B (AかBのどちらか)の否定文と同義」です。

He doesn’t either drink or smoke. (“He doesn’t drink or smoke.”も可)

She isn’t either tall or short.  (“She isn’t tall or short. ”も可)

※上の見出しに「neitherまたはnot」と書きましたが、notとnorが相関的に用いられるケースとは、例えば次のような場合です。

Not a man, a woman, nor a child, is to be seen. (男も女も子供も見えない。『新英和中辞典』研究社, 第7版, 2003年.強調、当サイト管理人)

※マニアック?ですが、neither more nor less than(…というほかはない、まさしく…)という慣用句を紹介しておきます。

It is neither more nor less than absurd for him to try to bribe me. (彼が私を買収しようとするなんてばかばかしいというほかはない。『総解英文法』美誠社,1970年,p.320)

2. (否定の節や文の後に用いて)…もまた~ない

この用法では,norの後に(助)動詞と主語の倒置が起きます。

He hasn’t arrived, nor has his wife. (彼は着いていませんが、奥さんもまだです。)

I never saw him again, nor did I regret it. (私は二度と彼とは会わなかったし、それを悔やみもしなかった。)(『ルミナス英和辞典』研究社, 第2版, 2005年)

→「1.」、「2.」それぞれの見出しに書いたとおり、上の例では、neitherやnotと一緒に用いたり、否定の節・文の後に用いて、norは「…もまた~ない」などの意味を表しています。したがって、ある問題文が意味のうえで否定的な内容であっても、上の形に該当しなければ、norを選ぶべきではありません。

Lack of money made it difficult for him to buy food or drink. (お金がなかったので、食べ物や飲み物を買うのは彼には難しかった。)

もしこの例でorが空所になっており、選択肢にorだけでなくnorがある場合、意味的にnorを選びたくなるかもしれませんが、そうではなくorが入ります。

either

1.形容詞

Either book will do. (どちらの本でもよい。『ロイヤル英文法』改訂新版旺文社,2000年,p. 143)

なお、上の場合、Eitherは不定冠詞相当語です。さらに不定冠詞をつけてEither a bookとする必要はありません(そのように書くと誤りです。ただし、下記「3.」のeither A or Bの用法で、たまたまeither a book or a journalなどの形になる場合はあります)。

2.代名詞

Either of the two books will do. (二つの本のどちらでもよい。)

3つ以上のものについてはanyを用います。当サイト管理人の個人的感覚ですが、このあたり、ややこしいですが、一つ一つ覚えていきましょう。

Any of the three books will do. (三つの本のどれでもよい。)

3.副詞

次に、副詞(either A or Bの用法は接続詞とみなされることもあります)のeitherについて解説します。まずお決まりは,either A or Bで「AかBのどちらか(どちらでも、 いずれかを)」です。もしうろ覚えでしたら、both A and B(AもBも(両方とも))や上記「1.」のneither A nor B(AもBも…ない)など(※)とセットで必ず覚えましょう。

※本エントリーのテーマからはそれますが、各参考書や文法書には、not only A but  (also) B (AだけでなくBも)なども載っていますね。

本題に戻ります。副詞のeitherは、否定文で「…もまた~ない」の意味を表すことができます。「…もまた~ない」という日本語だけ暗記しているとnorの用法と混乱して覚えづらいので注意が必要です。例文を見てみましょう。

例1:“I don’t like dogs.” “I don’t either.” (「犬が好きではない。」「私もだ。」)

上の例文の第2文でNorを使いたい場合、“Nor do I.”と言い換え可能です。“Neither do I.”や“Me neither.”, “Me either.”, “Nor I either.” とも言い換え可能です。eitherもnorも「…もまた~ない」の意味を表すわけですが(上の例では「私も好きではない」、「私もそうだ」(※)といった訳になります)、形の違いを押さえたいところです。

※「私もそうだ」は、肯定とも否定とも取れる表現ですが、この場合は否定の意味で「私もそうだ」です。曖昧さをなくしたい場合は「私も好きではない」と訳す方がよいでしょう。

『新英和中辞典』(研究社, 第7版, 2003年)には、norとeitherが同じ文の中で使われる、次の例文も載っています。

例2:“I won’t go.” “Nor I either.” (「私は行きません。」「私も行かない。」)

この例文の第2文は、例1と同様、“I won’t (go) either.”や“Nor will I.”, “Neither will I.”, “Me neither.”, “Me either.” と言い換え可能です。

neither

1. 形容詞で「どちらの…も~でない」

Neither answer is good. (どちらの答えも良くない。)

上の例文からも分かりますが、この用法ではneitherは単数名詞を修飾します。日本語だけで考えると、「「どちらも…ない」なのに単数名詞なの?」と混乱しやすいので注意が必要です。

さらに、上の例文のような場合、“Either answer is not good.”とは言わない、という点にも注意が必要です(2023.08.28追記:この点は『新英和中辞典』(研究社, 第7版, 2003年)を参照して書きました。ところがネットを検索すると、上の言い方はけっこうたくさんヒットします。本来の正しい英語とはいえないが、現在、実際は用いられる場合もある、といったところでしょうか)。

2. 代名詞で「どちらも…でない」

I believe neither of the stories. (どちらの話も私は信じない。)

bothの対極(※)であるといえます。上の例文は、“I believe both of the stories.”と正反対の意味になります。“I don’t believe either of the stories.”といってもいいです。似たようなことを上にも書きましたが、当サイト管理人の個人的感覚では、このあたり、ややこしいというか大変ですが、一つ一つ覚えていきましょう。

※『ロイヤル英文法』(改訂新版旺文社,2000年,p. 230)は「neitherはbothの否定である」としています(同旨、『英文法解説』改訂3版,金子書房,1991年,p.67)。一方、『新マスター英文法』(聖文新社,2008年,p.176)は「neitherはeitherの否定である」としています(同旨、『総解英文法』美誠社,1970年,p.153)。この点に関しては、後者が正しいように思います。both(両方とも)を否定するには、両方とも否定する必要は必ずしもなく、少なくとも一方を否定すればよいからです。それに対して、either(どちらか一方)は、「どちらも…ない」と指摘されれば、否定されます。つまり「neitherはeitherの否定である」が正確な解説のように思います。

3. 副詞(3.1は接続詞と見なされることもあります)

3.1 (norと相関的に用いて)AもBも…ない

→これについてはnorの箇所を参照してください。

3.2 (否定の文や節のあとに用いて)…もまた~ない

eitherの箇所で既にチラッと登場していますが、「neither+be(助)動詞+主語」の順になります。例を示せば次のとおりです。

“I’ve never been to Germany.” “Neither have I.” (「私はドイツへ行ったことがありません。」「私もありません。」)

“I can not dance well.” “Neither can I.” (「うまく踊れないよ。」「私もだよ。」)

上の例の第1文は,“Nor have I.”や“I haven’t either.”, “Me neither.”, “Me either.”, “Nor I either.”と言い換え可能です。第2文は、“Nor can I.”や“I can’t either.”, “Me neither.”, “Me either.”, “Nor I either.”と言い換え可能です。

for fear (that), in case, lest

for fear (that), in case, lestは高校生用の参考書にも出てきますが、意味合いや用法は三者同一ではなく、覚えづらいです。本エントリーではこれらについて整理したいと思います。

for fear (that)

「…しないように」、「…するといけないから」、「…するのを恐れて」

Take your umbrella with you for fear it should rain. (=Take your umbrella with you for fear of rain. 雨が降るといけないから、傘を持っていきなさい。)

fearの導く節ではshouldやmight, さらにはmay, will, wouldも用います。

「…しないように」という日本語にひきずられてnotを入れてしまわないように注意が必要です(下記のlestも同様)。

Take care for fear you should catch cold. (風邪をひかないように注意してね。)
(×Take care for fear you should not catch cold.)
(なお、次のとおり言い換え可能です:Take care not to catch cold.)

※lestやin caseと比較して、「…するのを恐れて」という意味合いがあります(fearは名詞で「恐れ、恐怖、不安、心配」、動詞で「恐れる、怖がる、ためらう」などの意味ですね)。以下のように、物騒な例文がオンライン辞典に載っています。

I had to run away for fear (that) he might one day kill me.
(Oxford Learner’s Dictionaries. https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/ ,  (accessed 2023-08-26).)

She finally ran away for fear that he would kill her.
(Longman English Dictionary Online. https://www.ldoceonline.com/ , (accessed 2023-08-26).)

 in case

1.「…するといけないから」、「…の場合に備えて」

Take your umbrella with you in case it rains.(イギリス英語ではin case it should rain. 雨が降るといけないから、傘を持っていきなさい。)
(=Take your umbrella with you in case of rain.)

in case の導く節では直説法を用います。すなわち、主語の人称・数・時制によって動詞の形が決まります。節中に should を用いる場合もあり、その場合、続く動詞は原形です。

lest, for fear (that) に比べてくだけた言い方(口語的な言い方)です(※※)。ただし、節中に should を用いる場合は堅い口調になります。

※※in caseの導く節は上記のとおり直説法であり、下記のlestの場合よりも日本人にとって分かりやすいような気がします。また、for fear (that)やlestと異なり、「…しないように」という日本語にひきずられてnotを入れてしまわないように注意、ということもありません。これらを考えると、for fear (that)やlestよりも、日本人にとって使いやすいようにも思います(すなわち、for fear (that), in case, lestのうち、とりあえずin caseを覚えておけば、英会話などで活用しやすいようにも思います)。

2.アメリカ英語では、in caseをifの意味で用いる場合があります。たとえば、以下の2つ目の例文は、「彼に会うといけないから」「彼にあった場合に備えて」とはなりませんので、そうしたin caseの用法(上記「1」)とは区別して覚える必要があります。

In case anything happens, call me immediately. (もし何かあったら、すぐに私に電話をください。『ロイヤル英文法』旺文社,改訂新版,2000年,p. 622)

In case you see him, give him my regards. (もし彼に会ったら、よろしくといってくれ。『現代英文法講義』開拓社,2005年,p.608)

lest

「…しないように」、「…するといけないから」

Take your umbrella with you lest it rain.(またはlest it should rain. 雨が降るといけないから、傘を持っていきなさい。)

lest の導く節では仮定法現在(=形としては動詞の原形)を用います。主にイギリス英語で改まった言い方の場合、shouldを用います。

「…しないように」という日本語にひきずられてnotを入れてしまわないように注意が必要です(上記のfor fear (that)も同様)。

Take care lest you catch cold. (風邪をひかないように注意してね。)
(×Take care lest you do not catch cold.)
(なお、次のとおり言い換え可能です:Take care not to catch cold.)