「前置詞+which+名詞」の形がTOEICで問われることがあります(例えばPart5,短文穴埋め問題)。一例として,『TOEICテスト新公式問題集 Vol. 5』(国際ビジネスコミュニケーション協会, 2012年)p.51の「PART5,138」がこの事項を問うています。
このような場合のwhichを関係形容詞といい,接続詞と形容詞の働きを兼ねます。
関係形容詞について『新マスター英文法』(聖文新社, 全面改訂版, 2008年)には,代名詞と接続詞の働きを兼ねる関係代名詞と比較する形で,以下の例文が載っています(同書p. 217)。
(a) He hates Mrs. Brown, which surprises me. 〔関係代名詞〕
(b) He hates Mrs. Brown, which fact surprises me. 〔関係形容詞〕
(a)のwhichは,前文の内容を表す代名詞と,2つの節を結びつける接続詞の働きを兼ねています(同書p. 217)。
〔He hates Mrs. Brown + this surprises me〕
一方(b)のwhichは,前文の内容を指してfactを修飾する形容詞と,2つの節を結びつける接続詞の働きを兼ねています(同書p. 217)。
〔He hates Mrs. Brown + this fact surprises me〕
上で対比しているように,『新マスター英文法』は関係代名詞と関係形容詞を区別しており,同書「第7章 関係詞」の中で,関係代名詞と関係形容詞にそれぞれ独立の節を設けています。一方,『総解英文法』(美誠社, 1970年)には「関係代名詞がその直後に名詞を伴って,その名詞を修飾する場合[を関係形容詞という]。[中略]関係形容詞とは,関係代名詞の形容詞的用法であると考えればよい」(同書p. 176)とあります。『ロイヤル英文法』(旺文社, 改訂新版, 2000年)も同旨で,関係形容詞は関係代名詞の一種であるという書き方をしています(同書p. 660)。
英語を学問として研究する場合,上のような文法上の考察は大切だと思います(ここでは,上の説明のどちらが正しいのようには書かず,両論併記としておきます)。一方,TOEIC対策を第一に考えた場合,関係形容詞のwhich(特に「前置詞+which+名詞」の形)にはよく使われる言い回しがあり,それらを例文ごと覚えてしまうのが手早いと考えます。例えば次の例文を覚えておくと有益です。
例1:He stayed there for a week, during which time he visited his old friend. (彼はそこに1週間滞在し,その間に旧友を訪れた。 『新マスター英文法』聖文新社, 全面改訂版, 2008年, p. 217)
例2:The train might be late, in which case you may take a taxi. (列車は遅れるかもしれない。 その場合はタクシーを使ってよい。 『ルミナス英和辞典』研究社, 第2版, 2005年)
なお,関係形容詞にはwhichのほかに,whatやwhatever,whicheverの用法があります。それらについては,TOEICでの出題傾向を見極めたうえで,いずれ解説したいと思います。