『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST8 PART6」131-134(p. 236)では、「この会議の目的は、合併のスケジュールをはっきりさせることです。取締役会に質問がある人には、そのための時間が豊富に用意されています」という趣旨の箇所に空欄を作り、次のような設問を設けています。
—— with questions for our Board of Directors will be given ample time to ask them.
選択肢の中にAnyoneとWhoeverがあり、どちらかが正解です。さてどっちでしょう…?
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正解はAnyoneです。以下に述べる内容を知っていれば瞬時に解ける問題ですが、anyoneもwhoeverも「誰でも」という意味だよな?くらいのあいまいな知識しかないと、両者の見分けが付かずに、勘で答えることになってしまいます。
anyone
anyoneは、anybodyと基本的には同じ意味で、代名詞です。肯定文で「誰でも」、否定文で「誰も(…ない)」、疑問文で「誰か」という意味を表します。
Anyone can do that. (誰でもそれくらいできる。)
Anyone can’t do that. (誰もそんなことはできない。)
Can anyone do that? (誰か、そんなことできるか?)
冒頭の設問も、空欄にはAnyoneが入り、「取締役会に質問がある人は誰でも、彼ら・彼女らに質問する豊富な時間が与えられます」(直訳)という意味になります。
whoever
次にwhoeverについて見ていきましょう。whoeverは基本的に関係代名詞です(各文法書では「複合関係代名詞または複合関係副詞である」などとも説明されます)。「…する人は誰でも」( = anyone who)、または「誰が…しようとも」( = no matter who)という意味を表します(※)。
※したがって、必ず常にwhoeverイコールanyone who、とは限りません。上のとおり、whoeverがno matter whoと同義の場合もあるためです。ネット上の記事(このエントリーもネット上の記事ですが^^;)にはこの点がおおざっぱで、あたかも、必ず常にwhoeverイコールanyone whoであるかのように書いてあるものもありますので注意しましょう。
『新英和中辞典』(第7版,研究社,2003年)にはそれぞれ次の例文が載っています。
Whoever comes is welcome. (来る人は誰でも歓迎する。)
Whoever calls on me, tell him [her, them] I’m out. (誰が訪ねてきてもいないと言いなさい。)
英語の文法の授業やテキストなどで「関係詞節」や「関係代名詞節」という言葉を聞いた/目にしたことがあると思います。その言葉のとおり、関係代名詞は節を作ります。上の例文でいうと、次のように整理できます。
Whoever comesが名詞節。かつ、文の主部。isが文の述語動詞。この場合のWhoeverはAnyone whoと言い換え可能です。
Whoever calls on meが副詞節。この場合はNo matter who calls on meと言い換え可能です。
冒頭の設問・解説
冒頭の設問の場合、
Whoever has questions for our Board of Directors will be given ample time to ask them. (= Anyone who has questions for our Board of Directors will be given ample time to ask them.)
上のような文なら、Whoever (Anyone who) has questions for our Board of Directorsが名詞節かつ主部となり、正しい形になります。冒頭の設問はそうではないので、Anyoneの方が正答です。
なお、ampleはTOEICでしばしば目にする形容詞で、「広々とした」「大きい」「豊富な」といった意味を表します。覚えておきましょう。