本エントリーは『TOEICテスト新公式問題集 Vol. 4』(国際ビジネスコミュニケーション協会,2009年)の「TEST2 PART5」117(p.93)にヒントを得ています。その問題は、
Mr. Kato —— to work on the research project.
のような英文において、空所に入る語として適切なものを選ぶものです。選択肢には
(A) assigned (B) have been assigned (C) will assign
が並んでいます(実際は4択ですが、ここでは説明を分かりやすくするため3択にします)。
assignは、能動態で「assign+人+仕事/もの」または「assign+仕事/もの+to人」(人に仕事やものを割り当てる)という表現を作ることができます。
He assigned the tour members their hotel rooms.(=He assigned hotel rooms to the tour members. 彼はツアー参加者にホテルの部屋を当てがった。『新英和中辞典』研究社,第7版,2003年)
また、assignは受動態で「人+be assigned to+仕事/もの」という表現を成し、「人が仕事や物に割り当てられる」という意味を表すこともできます。
Five detectives were assigned to the investigation. (5人の刑事がその調査に割り当てられた。『ジーニアス英和辞典』大修館書店,第5版,2014年)
さらに、assignは受動態で「仕事/もの+be assigned to+人」という形を作り、「仕事や物が人に割り当てられる」という意味を表すこともできます。
This room is assigned to him.
以上の語法を知っていれば、(B) have been assignedが正解で、「加藤氏は、調査プロジェクトに取り組むよう命じられました」という意味になると即答できます。
しかし、英語にはこうした語法が膨大にあるため、それらの全てを完全に頭に入れておくことは難しいです(というかまあ、無理ですね)。上記の問題を見て「ひょっとしたら能動態のassign toを用い、Mr. Kato assigns to work …とするのが正しい用法かもしれない」と考えてしまったとしても、不思議ではありません。
ここで指摘したいのが「上記の問題を解くためのテクニック、考え方がある」という点です。
選択肢を見てください。空所に入れた場合、(A) assignedは過去時制、(C) will assignは未来時制です。時制が異なることのほかに、出来上がる文に差はありません。もし、“Mr. Kato —— to work on the research project two years ago.”のように、「何年前」などと書かれていれば空所には過去時制が入ります。ところが上記の問題はそのようには書かれておらず、仮に(A)が正解になるなら(C)も正解になりそうですし、逆もそうです。上に述べたとおり、時制が異なることのほかに、出来上がる文に差がないためです。
一方、(B) have been assignedは受動態の現在完了であり、受け身です。選択肢を一つだけ選ばねばならない場合、(B)を選ばざるを得ないのではないかと考えることができます。このように考えることによって、上と同じ問題がもし出た場合にassignの意味がよく分からないとしても、正解を導くことができます。
テクニックだけでTOEICを乗り切るのは難しいです。総合的な英語力を地道に付けていくのがあくまで正攻法だと思いますが、上のようなテクニックを駆使できるとスコアアップに役立つ場合もあると考えるため、本エントリーで紹介しておきます。上で紹介したもの以外にもさまざまな「技」があると思います。当サイトでも取り上げていきたいです。