「全ての」を英語でいうと?と聞かれれば、allやeveryが思い浮かぶのではないでしょうか。形容詞としてのall, every(さらにeachも)に続く名詞は単数形でしょうか、複数形でしょうか、即答できますか?また、代名詞としてのallやeachは単数扱いか、複数扱いか(それらの次に来る動詞に三人称単数現在のsが付いている場合はあるか/ないか)、説明できますか?本エントリーではそれらについて解説します。
はじめに:時間のない方へ、ポイントの超・要約
形容詞用法のall, every, eachの中からどれかを選ぶ設問の場合、複数形を修飾するのはallのみです。everyとeachの後には単数形が続きます(ただし、例えば代名詞用法の場合など、より詳しく学ぶべき事項もあります。それらについてはこのエントリーの後続の記述も参考にしてください)。例えば、空所に入る語として適切なのはどちらでしょうかと、次の問題があるとします。
—— students of the class enjoyed the summer camp. (クラスの生徒たちは皆、サマーキャンプを楽しんだ。)
(A) All (B) Every (C) Each
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正解は(A) Allです。
覚え方としては、「everyoneやeverybodyなどの単語を思い出す。すると、everyの次は単数形だと連想しやすい」「each→イーチ→イチ(「1」、「一」)ということで、eachの次は単数形」はいかがでしょうか?後者は特に、当サイト管理人の自己流ですが(笑)
all、every、eachの用法は多岐にわたりますので、基本事項、およびTOEICでよく見かける事項に絞って本エントリーを以下書いていきます。
1. all
allには形容詞用法と代名詞用法などがあります。形容詞としてのallの場合、次に来る名詞は複数形です。代名詞としてのallの場合、単数扱いの場合も、複数形扱いの場合も、両方あります。すなわち、次に来る動詞が三人称単数現在の場合も、そうでない場合も、両方あります。
allの形容詞用法
(1)all+名詞の複数形で「全ての…」の意味を表します。
All my friends live in Tokyo.(×All my friend lives in Tokyo.)(友達は皆、東京に住んでいます。)
※当サイト管理人は大学受験の頃、
He closed all the windows. (彼は全ての窓を閉めました。)
という例文を暗記させられた記憶があります。この例文でtheがなぜ必要か?について、授業担当の先生が熱心に説明していました。熱心に説明する先生の姿だけが記憶に残っていますが、この例文でtheが必要なのはなぜでしょうか?
優れた文法書として定評のある『ロイヤル英文法』(旺文社,改訂新版,2000年,p. 225.強調、当サイト管理人)に、「all the boysとall boysの違いは?」として「all the boysは「特定の少年たちの全員」であり、all boysは「そもそも少年というものはすべて」の意になる」という解説があります。この説明と同様の考え方で、上の例文にはtheが必要になります(世の中のあらゆる窓を閉めたのではなく、特定の範囲の窓をすべて閉めた)。
(2)all+名詞の単数形で「全体の,…じゅう」の意味を表します。
例:all day(終日)/all night(終夜)
※同様に、「全体の、…じゅう」を表す語にentireやwholeがあります。いずれも単数形に付きます。TOEICでよく見かけるので要チェックです。
the entire day(丸一日。この場合にallを用いるとall the dayになります(上記のように、all dayという表現もあり得ます)。theの位置に注意が必要です。)
the whole world(全世界。この場合にallを用いるとall the worldになります。theの位置に注意が必要です。)
allの代名詞用法
(1)単数扱いの場合も、複数扱いの場合も、両方あります。
All is well that ends well. (終わり良ければ全て良し。)
All were happy. (皆、喜んでいた。)
(2)all of+冠詞(相当語)+複数名詞で(ネイティブが感じるような微妙な違いはとりあえず別として)形容詞としてのall+複数名詞と同じ意味を表現できます。複数扱いです。つまり、次に来る動詞が三人称単数現在になることはありません。
All of my friends live in Tokyo. (友達は皆、東京に住んでいます。)
ただし、定評のある『ジーニアス英和辞典』(第5版,大修館書店,2014年)が、“All of the pies were eaten.”で「パイは残らず平らげられた」という意味になるのに対し、“All (of) the pie was eaten.”で「パイ1個を残らず」というニュアンスになる旨を解説しています。すなわち、all of+定冠詞(相当語)+単数名詞の形(この場合allは単数扱い)もあります。
同書はまた、「all of the+集合名詞(※)」では全体を単数扱いすることも、複数扱いすることも、どちらも可能である旨を解説したうえで、次の例文を挙げています。これらの場合は、次に来る動詞が三人称単数現在になることもあり得ますね。
All of the class is [are]restless today. (クラスの全員が今日は落ち着きがない。)
※集合名詞とは、例えば「家族」など、複数の構成員から成る集団などを一つの単位として表す名詞のことです。
2. each
eachには形容詞用法と代名詞用法などがあります。
eachの形容詞用法
each+名詞の単数形で「それぞれ」、「めいめい」、「おのおの」の意味を表します。
Each student has an ID card.(×Each students have an ID card.)(各学生は身分証を持っています。)
eachの代名詞用法
each of+冠詞(相当語)+複数名詞で(ネイティブが感じるような微妙な違いはとりあえず別として)形容詞としてのeach+単数名詞と同じ意味を表現できます。単数扱いです。つまり、次に来る動詞が三人称単数現在の場合もあり得ます。
Each of the books has its own story. (どの本にもストーリーがある。)
Each of us lives in each own life. (われわれはめいめい、それぞれの人生を生きている。)
※上の2つ目の例文で、livesの直前に複数形のusがあるのに、述語動詞が三単現のlivesになっているのは、直感的というか、ビジュアル的にというか、変な気がするかもしれません。が、主語は文頭のEachであり、述語動詞の形は上のとおりlivesで合っています。上の2つ目の例文を取り上げましたが、1つ目の例文も同様です。
この点は興味深いところで、『ロイヤル英文法』(旺文社,改訂新版,2000年,p. 718.強調、当サイト管理人)は、「Each of us has…かEach of us have…か?」というコラムを設け、原則はEach of us hasだが、usに引かれて、Each of us haveとなることが多い(すなわち、いずれでもよい)旨の解説をしています。上の1つ目の例文も、略式ではEach of the books haveでも可とされています(『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年)。
なお、上の2つ目の例文の後半in each own lifeのeachは形容詞用法であり、後続のlifeが単数形になっていることが見て取れます。
3. every
everyは形容詞です。いろいろな意味・用法がありますが(参考:「…おき」と「…ごと」)、allやeachとの比較としては、every+名詞の単数形で「全ての…」、「…はどれ[誰]も皆」」の意味を押さえましょう。
Every dog has its day. ((ことわざ)どの犬にも全盛期はある→幸運が巡ってくるときは誰にでもある)