TOEICにたまに出てくる(かつ、大学入試ではほぼお目にかからない)英語に「残り、余り、やり残し、(口座や負債の)残高」の意味のbalanceがあります。通常、balanceと聞けば「平衡、均衡、調和」(要するにカタカナの「バランス」)の意味が思い浮かぶと思います。TOEICを受験する際は要注意です。いくつかの辞典の例を以下に挙げます。
In the balance of class time she answered our questions. (授業時間の終わりに彼女は私たちの質問に答えた。『新英和中辞典』第7版,研究社,2003年)
The balance in my bank account is 100,000 yen. (私の銀行口座の残高は10万円です。『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年)
“Don’t you owe a balance?” (「借金は残りませんでしたか?」英辞郎on the WEB Pro)
なお,「残り(のもの、人々)、残余(rest)」を表す語remainderもTOEICで見かけますので一緒に覚えましょう。例えば次のような英文がありえます。
Fifty percent of the total cost is required now, and the remainder is due upon completion. (総額のうち50%はいま求められており、残りはプロジェクトが完了次第支払われる必要があります。)
上の英文は、『公式TOEIC Listening & Reading 問題集7』(国際ビジネスコミュニケーション協会, 2020年)の「TEST2 PART5」122(p. 85)を一部改変したものです。この問題は実は難問で、remainderの位置が空欄になっているのですが、remainder(正解)のほかの選択肢にはremainsやremainなどがあります。TOEICに慣れていないとremainderはなじみが薄いかもしれず,remain(残り,残り物)を選ぶ人も多いかもしれません。ところが「残り,残り物」(そのほか残骸,化石などの意味もあります)の意味のremainは複数形で使われます。上の英文は、be動詞isが用いられているため、その主語が複数形になるのは変です(つまり、複数形remainsを用いたくなるかもしれせんが、その後にbe動詞isが続くのは変なので、上の英文ではできません)。そのためremainもremainsも正解にはならず,remainderが入ります。
上記の、『公式TOEIC Listening & Reading 問題集7』(国際ビジネスコミュニケーション協会, 2020年)の「TEST2 PART5」122(p. 85)を初めて見たとき、「remain/remains/remainderを見分けられるか(使い分けられるか)を問うのか…ずいぶん難問だなあ」と思いました。そのとおりかもしれませんし、実はもっと単純に、remainderという単語をTOEICは使わせたがっているのかもしれません(当サイト管理人の、根拠のない憶測です)。
いずれにせよ、「残り、余り、やり残し、(口座や負債の)残高」の意味のbalanceと、「残り(のもの、人々)、残余(rest)」を表す語remainderはTOEICで見かけますので、覚えておくと良いでしょう。