今回は、TOEICの過去問で見かけた難問?を取り上げたいと思います。
『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST4 PART5」102(p. 110)に、次の問題が出てきます。
Classes —— using the new employee scheduling software will begin in December.
選択肢は(A) at, (B) to, (C) by, (D) onです。さて正解はどれでしょう…?
↓
↓
正解は(D) onです。onには「…について、…に関する」という用法があります(aboutより学問的、専門的な内容のものに用います)。英国の有名な哲学者ジョン・スチュアート・ミルの著書に『自由論』がありますが、原題はOn Libertyです(※)。上の英文は、「従業員用の新たなスケジュール管理ソフトに関する講習は12月に始まります」という意味になります。
(※)ちなみに、学術論文で出典を示す際など、書名はこのようにイタリック体にするのが一般的です。
これだけなら、知っている人も多いですし、「「…に関する講習」で正答はonね、よしよし、次の問題に行ってみよう」となりそうなものです。が、当サイト管理人としては、(C) byが気になります。Classes by using…(従業員用の新たなスケジュール管理ソフトを用いた講習は12月に始まります)も正答になるんじゃないの?という気がしてきます。
英辞郎on the WEB Proをclass onで検索すると1349件のヒット数があり(以下、検索結果はいずれも本エントリー執筆時点)、
teach a class on(…に関する講義をする)
などが結果に表示されます。一方class byで検索してみると、
Further, the school has also created opportunities so students can think more intentionally about their future occupation … through the class by using a booklet…. (また、小冊子を活用した授業を通じ、職業について生徒が考える機会を本校は設けています。強調、当サイト管理人)
などが含まれています。検索のヒット数はclass byよりclass onの方が多く、しかも、class byの場合は
The professor started the class by calling on the student. (教授は、授業の最初にその学生を指名しました。)
上の例文のように、classとbyが隣接していても、実のところは、述語動詞(上の場合はstarted)とbyがつながっているものが目立ちます。どうやら、コロケーション(単語と単語のつながり方)としてはclass byよりclass onの方が自然であり、冒頭で取り上げた設問もそちらを答えさせたいのだろうな、と想像できます。
ですが、上のthrough the class by using a booklet … (小冊子を活用した授業を通じ…強調、当サイト管理人)のような英文も現にある以上、冒頭の設問も、byでも正答になっちゃうのでは…??とも感じてしまいます。
もし、TOEICで990点満点を狙う場合、リーディングは1問も落とせないと考えるのが良いです(フォームによっては、1~2問ミスくらいでも満点が出る場合があるようです。フォームの難易度によります)。そのため、英語力が上級の人が冒頭の設問に実際に出くわして、onか?byか?迷った場合、英語力があるがためにかえって、正答できるか、満点を取れるかどうかは運次第になるのでは?と感じた次第です。