those+複数名詞+who[which, that]…の構文を覚えよう

those+複数名詞+who[which, that]…で、thoseが、指示性はほとんどなしに(=日本語に訳す必要はほぼなく)、後ろにwho(またはwhich, that)節が続くことを示す目印の役割を果たします。

Those students who came late for the class got told off by the teacher. (授業に遅刻した生徒たちは先生に叱られた。)

get told off:叱られる(tell off:小言を言う、叱りつける(scold))

前後の文脈にもよりますが、上の例文では通常、Those studentsを「あの生徒たち」と訳す必要はありません。訳文を作る際は、Thoseは後ろにwho節が続く目印となっているだけと考え、上の( )内のような日本語になります。

以上の話だけならば「なるほど、そうか」といったところかもしれませんが、TOEICでは次のような問われ方をする可能性があるので注意が必要です。空所に入る語として適切なのはどちらでしょうかと、次の問題があったとします。

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almost, most, most ofの違いを即答できるか?

次の英文の空所に入る語として適切なものを選びなさいとして、選択肢が4つ提示されていたとします。あなたは、正答を即答することができますか?

—— students studied hard for the entrance examination.

(A) Most
(B) Most of
(C) Almost
(D) The most

答えは(A) Most(大抵の)です。形容詞としてのmostは、通例無冠詞で名詞を修飾し、「大抵の」の意味を表します。例えば“in most cases”(大抵の場合)などです。

ですが、選択肢が上のように並ぶと混乱しがちなので、注意が必要です。(B) Most ofは、代名詞としてのmostの用法で、以下のように、most ofの次には定冠詞theまたは定冠詞相当語(one’s, this, theseなど)が必要です(※※)。

Most of the employees are diligent.(大部分の従業員は勤勉です。)

※上で、個々の従業員は、例えば「佐藤さん」や「鈴木さん」、「高橋さん」だったりします。それら個々の従業員を一人ひとり記述するのではなく、代用してmostと表現しているので、上のmostは代名詞です。

※※“The Romans conquered most of England.”(ローマ人はイングランドの大部分を征服した。『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年)のように、most ofの次に定冠詞theなどを置かず、人名や地名が直接続く用法もあります。

(C) Almostは副詞です(実は、形容詞の用法もあるのですが、(C)のAlmostは副詞です)。副詞の主な用法は、動詞や形容詞、副詞などを修飾することなので、“Almost all the employees are diligent.”のような表現なら正しいです。“Almost all of the employees are diligent.”も正しいです。なお、most ofは、 almost all (of)よりもやや少ない人数をいいます(『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年)。

(D) The mostは、例えば“This is the most beautiful flower.”のように、形容詞や副詞の最上級をつくる用法です。本問では不適切です。この選択肢(D)をまず除外し、残りの(A)~(C)の中から確実に正答したいところです。

当サイトが推奨する対策は、ほかのエントリーでも繰り返しておりますが、「単語だけの暗記だと混乱してしまうので、そうでなく、下記のような例文ごと覚える。暗唱できるレベルまで頭に叩き込む」ですね~。

Almost all the employees are diligent.

Almost all of the employees are diligent.

Most employees are diligent.

Most of the employees are diligent.

※本エントリーがヒントにした設問:『公式TOEIC Listening & Reading 問題集5』(国際ビジネスコミュニケーション協会, 2019年)の「TEST1 PART5」119(p. 43)

…もまた~ない:nor,either,neither

norという単語を目にした場合、反射的に「…もまた~ない」という意味を思い浮かべる方が多いかと思います。それで正解です。一方、「eitherにも「…もまた~ない」という意味があるんじゃなかったっけ?」と思う方もいるかもしれません。それも正解です。

以上は多くの方が思いつくかもしれませんが、nor, either, neither(norと一緒によく用いられますね)それぞれの使い方について、正確に説明できますか?本エントリーではそれらについて整理します。

※nor, either, neitherは、深掘りすると、かなり細かい事項も出てきます。以下では「…もまた~ない」に関する主な意味・用法を中心に、主に基本事項について解説します。

nor

接続詞で、「AもBも…ない」「…もまた~ない」の意味を表します。以下のパターンがあります。

1. (neither または not と相関的に用いて)AもBも…ない

He neither drinks nor smokes. (彼は酒も飲まなければたばこも吸わない。)

She is neither tall nor short. (彼女は背が高くも低くもない。)

※「either A or B (AかBのどちらか)の否定文と同義」です。

He doesn’t either drink or smoke. (“He doesn’t drink or smoke.”も可)

She isn’t either tall or short.  (“She isn’t tall or short. ”も可)

※上の見出しに「neitherまたはnot」と書きましたが、notとnorが相関的に用いられるケースとは、例えば次のような場合です。

Not a man, a woman, nor a child, is to be seen. (男も女も子供も見えない。『新英和中辞典』研究社, 第7版, 2003年.強調、当サイト管理人)

※マニアック?ですが、neither more nor less than(…というほかはない、まさしく…)という慣用句を紹介しておきます。

It is neither more nor less than absurd for him to try to bribe me. (彼が私を買収しようとするなんてばかばかしいというほかはない。『総解英文法』美誠社,1970年,p.320)

2. (否定の節や文の後に用いて)…もまた~ない

この用法では,norの後に(助)動詞と主語の倒置が起きます。

He hasn’t arrived, nor has his wife. (彼は着いていませんが、奥さんもまだです。)

I never saw him again, nor did I regret it. (私は二度と彼とは会わなかったし、それを悔やみもしなかった。)(『ルミナス英和辞典』研究社, 第2版, 2005年)

→「1.」、「2.」それぞれの見出しに書いたとおり、上の例では、neitherやnotと一緒に用いたり、否定の節・文の後に用いて、norは「…もまた~ない」などの意味を表しています。したがって、ある問題文が意味のうえで否定的な内容であっても、上の形に該当しなければ、norを選ぶべきではありません。

Lack of money made it difficult for him to buy food or drink. (お金がなかったので、食べ物や飲み物を買うのは彼には難しかった。)

もしこの例でorが空所になっており、選択肢にorだけでなくnorがある場合、意味的にnorを選びたくなるかもしれませんが、そうではなくorが入ります。

either

1.形容詞

Either book will do. (どちらの本でもよい。『ロイヤル英文法』改訂新版旺文社,2000年,p. 143)

なお、上の場合、Eitherは不定冠詞相当語です。さらに不定冠詞をつけてEither a bookとする必要はありません(そのように書くと誤りです。ただし、下記「3.」のeither A or Bの用法で、たまたまeither a book or a journalなどの形になる場合はあります)。

2.代名詞

Either of the two books will do. (二つの本のどちらでもよい。)

3つ以上のものについてはanyを用います。当サイト管理人の個人的感覚ですが、このあたり、ややこしいですが、一つ一つ覚えていきましょう。

Any of the three books will do. (三つの本のどれでもよい。)

3.副詞

次に、副詞(either A or Bの用法は接続詞とみなされることもあります)のeitherについて解説します。まずお決まりは,either A or Bで「AかBのどちらか(どちらでも、 いずれかを)」です。もしうろ覚えでしたら、both A and B(AもBも(両方とも))や上記「1.」のneither A nor B(AもBも…ない)など(※)とセットで必ず覚えましょう。

※本エントリーのテーマからはそれますが、各参考書や文法書には、not only A but  (also) B (AだけでなくBも)なども載っていますね。

本題に戻ります。副詞のeitherは、否定文で「…もまた~ない」の意味を表すことができます。「…もまた~ない」という日本語だけ暗記しているとnorの用法と混乱して覚えづらいので注意が必要です。例文を見てみましょう。

例1:“I don’t like dogs.” “I don’t either.” (「犬が好きではない。」「私もだ。」)

上の例文の第2文でNorを使いたい場合、“Nor do I.”と言い換え可能です。“Neither do I.”や“Me neither.”, “Me either.”, “Nor I either.” とも言い換え可能です。eitherもnorも「…もまた~ない」の意味を表すわけですが(上の例では「私も好きではない」、「私もそうだ」(※)といった訳になります)、形の違いを押さえたいところです。

※「私もそうだ」は、肯定とも否定とも取れる表現ですが、この場合は否定の意味で「私もそうだ」です。曖昧さをなくしたい場合は「私も好きではない」と訳す方がよいでしょう。

『新英和中辞典』(研究社, 第7版, 2003年)には、norとeitherが同じ文の中で使われる、次の例文も載っています。

例2:“I won’t go.” “Nor I either.” (「私は行きません。」「私も行かない。」)

この例文の第2文は、例1と同様、“I won’t (go) either.”や“Nor will I.”, “Neither will I.”, “Me neither.”, “Me either.” と言い換え可能です。

neither

1. 形容詞で「どちらの…も~でない」

Neither answer is good. (どちらの答えも良くない。)

上の例文からも分かりますが、この用法ではneitherは単数名詞を修飾します。日本語だけで考えると、「「どちらも…ない」なのに単数名詞なの?」と混乱しやすいので注意が必要です。

さらに、上の例文のような場合、“Either answer is not good.”とは言わない、という点にも注意が必要です(2023.08.28追記:この点は『新英和中辞典』(研究社, 第7版, 2003年)を参照して書きました。ところがネットを検索すると、上の言い方はけっこうたくさんヒットします。本来の正しい英語とはいえないが、現在、実際は用いられる場合もある、といったところでしょうか)。

2. 代名詞で「どちらも…でない」

I believe neither of the stories. (どちらの話も私は信じない。)

bothの対極(※)であるといえます。上の例文は、“I believe both of the stories.”と正反対の意味になります。“I don’t believe either of the stories.”といってもいいです。似たようなことを上にも書きましたが、当サイト管理人の個人的感覚では、このあたり、ややこしいというか大変ですが、一つ一つ覚えていきましょう。

※『ロイヤル英文法』(改訂新版旺文社,2000年,p. 230)は「neitherはbothの否定である」としています(同旨、『英文法解説』改訂3版,金子書房,1991年,p.67)。一方、『新マスター英文法』(聖文新社,2008年,p.176)は「neitherはeitherの否定である」としています(同旨、『総解英文法』美誠社,1970年,p.153)。この点に関しては、後者が正しいように思います。both(両方とも)を否定するには、両方とも否定する必要は必ずしもなく、少なくとも一方を否定すればよいからです。それに対して、either(どちらか一方)は、「どちらも…ない」と指摘されれば、否定されます。つまり「neitherはeitherの否定である」が正確な解説のように思います。

3. 副詞(3.1は接続詞と見なされることもあります)

3.1 (norと相関的に用いて)AもBも…ない

→これについてはnorの箇所を参照してください。

3.2 (否定の文や節のあとに用いて)…もまた~ない

eitherの箇所で既にチラッと登場していますが、「neither+be(助)動詞+主語」の順になります。例を示せば次のとおりです。

“I’ve never been to Germany.” “Neither have I.” (「私はドイツへ行ったことがありません。」「私もありません。」)

“I can not dance well.” “Neither can I.” (「うまく踊れないよ。」「私もだよ。」)

上の例の第1文は,“Nor have I.”や“I haven’t either.”, “Me neither.”, “Me either.”, “Nor I either.”と言い換え可能です。第2文は、“Nor can I.”や“I can’t either.”, “Me neither.”, “Me either.”, “Nor I either.”と言い換え可能です。

all, each, everyとそれらに続く名詞の単数/複数の区別など

「全ての」を英語でいうと?と聞かれれば、allやeveryが思い浮かぶのではないでしょうか。形容詞としてのall, every(さらにeachも)に続く名詞は単数形でしょうか、複数形でしょうか、即答できますか?また、代名詞としてのallやeachは単数扱いか、複数扱いか(それらの次に来る動詞に三人称単数現在のsが付いている場合はあるか/ないか)、説明できますか?本エントリーではそれらについて解説します。

はじめに:時間のない方へ、ポイントの超・要約

形容詞用法のall, every, eachの中からどれかを選ぶ設問の場合、複数形を修飾するのはallのみです。everyとeachの後には単数形が続きます(ただし、例えば代名詞用法の場合など、より詳しく学ぶべき事項もあります。それらについてはこのエントリーの後続の記述も参考にしてください)。例えば、空所に入る語として適切なのはどちらでしょうかと、次の問題があるとします。

“all, each, everyとそれらに続く名詞の単数/複数の区別など” の続きを読む

名詞の繰り返しを避けるthat, those(that of, those ofなど)

代名詞のthat(thatには形容詞や副詞、接続詞の用法もありますが、ここでは代名詞に話を絞ります)の用法の一つに、名詞の繰り返しを避けるthatの用法があります。that ofの形になることが多いです。注意点を以下に整理します。

1.比較の対象をそろえて明確にする(何と何の比較かを明示する)働きがある

The population of Tokyo is larger than that (= the population) of Osaka. (東京の人口は大阪よりも多い。)

日本語の場合は「東京の人口は大阪よりも多い」で意味が通じますが、英語では、「東京の人口」と「大阪のそれ」(大阪の人口)を比較するために、上のような文になります。すなわち

The population of Tokyo is larger than Osaka.

もし仮に上のような文にすると、「東京の人口」と「大阪」を比較することになってしまいます。もっと唐突な例で説明すれば、「青森県のリンゴと長野県のリンゴの比較」は意味を成すでしょうが、「青森県のリンゴとフランクリン・ルーズベルト大統領の比較」といわれても意味不明(何を尺度に、どのような点を比較したいのか、分からない)だと思います。そのため、第一文のようにthat (= the population) ofを入れて、比較の対象を「人口」同士にそろえます。

※もし、英語を母語としない日本人が、ネイティブとの会話で、“The population of Tokyo is larger than Osaka!”と力説した場合、勢いと気合で&相手もこちらの意図を推測してくれて、ひょっとしたら通じてしまうような気もします(※※)が、当サイトは、正確な英語の解説にあくまで努めます。

※「対等のもの同士を比較する」は、名詞の繰り返しを避けるthatの用法だけでなく、比較級全般にいえます。次の例文をご覧ください。日本語では「彼女の給料は夫より高い」などで意味が通じますが、英語では以下のようになります(※※)。

Her salary is higher than her husband’s . (×than her husband. 彼女の給料は夫より高い。)

Her smile is more friendly than Jane’s.(×than Jane. 彼女の笑顔はジェーンよりもフレンドリーだ。)

※※この点は意外と深いかもしれません。『英文法解説』(改訂3版,金子書房,1991年,p.172)に、以下の解説があります。

これは日本語との関連で日本人に独特の問題かと思っていたが、英米人用の学習文法書にもでているので、英米人にも必要な注意なのであろう。

2.itとの違い

大学受験英語などでよくある質問が(当サイト管理人も、大学院生時代に予備校の非常勤講師をしていた際、受けた質問です)、「大阪のそれ」なのだからthatじゃなくitでもいいのではないでしょうか?というものです。

答えはNoです。もしitをここで使うと、前に出た特定のものを指すのがitの原則の一つなので、「東京の人口は、大阪の東京の人口よりも多い」のような意味(「意味」といってよいのか?)になってしまいます。

3.複数の場合はthose of

The rules of this sport are simpler than those of baseball. (このスポーツのルールは野球のそれより単純だ。)

なお、those ofで「…の人々」を表す場合もありますので注意してください。例えば

those of Asian ancestry

で「アジア系の人々」です。この場合のthoseはpeopleやpersons, individualsを表しています。

4.that[those]の後はofだけとは限らない

The dialect spoken in this town is different from that (=the dialect) spoken in the next town. (この町で話されている方言は、隣町で話されているものとは違う。『ロイヤル英文法』改訂新版,旺文社,2000年,p.200)

The houses around here are larger than those in my town. (このあたりの家は私の町の家よりも大きい。『新マスター英文法』聖文新社,2008年,p.637)

I prefer these paintings to those by great masters. (私は大家の絵よりもこういった絵のほうが好きだ。同上,p.637.当サイト管理人注:prefer(…よりも~を好む)の場合は,このように,thanでなくtoを用いることにも注意)

The students from Brazil speak English better than those from Japan. (ブラジルから来た学生の方が日本から来た学生よりも英語を上手に話す。)

5.次にofが来るときはthat[those]の方が好まれるが、原則的に、thatはthe oneに、thoseはthe onesに言い換え可能

ただし、(1)繰り返す名詞が不可算名詞の場合、oneは使えません。thatを用います。不可算名詞すなわち数えられない名詞なので、one(「一つ」)で受けるのは変だからです。

The poverty of the soil here is worse than that of the next town. (ここの土地の劣悪さは、隣町よりひどい。)

(2)繰り返す名詞が人間の場合、thatは使えません。the oneを用います。

The man I saw was older than the one you met. (私が会った男性は、あなたが会った男性より年を取っていた。)

thisやthatが人を指す代名詞として用いられないことについては、『ロイヤル英文法』(改訂新版,旺文社,2000年)197ページに有用な解説があります。同書は、

Come and meet these over here. (「こっちに来て、こいつらに会いなよ」とでもなりましょうか)

は、軽蔑の表現になることがあるとしています。

ただし、

This is Mrs. Jones. (こちらはジョーンズ夫人です。)

That looks like Tom. (あれはトムみたい。)

Come and meet these people over here. (こちらに来てくれ、この人たちを紹介するよ。)

のように、文の主語になる場合や、形容詞として名詞の前に用いるのは差し支えないと説明しています。また、「3.複数の場合はthose of」で述べたとおり、those ofで「…の人々」を表す場合もあります。

anyoneとwhoeverのどちらを選ぶか?

『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST8 PART6」131-134(p. 236)では、「この会議の目的は、合併のスケジュールをはっきりさせることです。取締役会に質問がある人には、そのための時間が豊富に用意されています」という趣旨の箇所に空欄を作り、次のような設問を設けています。

—— with questions for our Board of Directors will be given ample time to ask them.

選択肢の中にAnyoneとWhoeverがあり、どちらかが正解です。さてどっちでしょう…?

正解はAnyoneです。以下に述べる内容を知っていれば瞬時に解ける問題ですが、anyoneもwhoeverも「誰でも」という意味だよな?くらいのあいまいな知識しかないと、両者の見分けが付かずに、勘で答えることになってしまいます。

anyone

anyoneは、anybodyと基本的には同じ意味で、代名詞です。肯定文で「誰でも」、否定文で「誰も(…ない)」、疑問文で「誰か」という意味を表します。

Anyone can do that. (誰でもそれくらいできる。)

Anyone can’t do that. (誰もそんなことはできない。)

Can anyone do that? (誰か、そんなことできるか?)

冒頭の設問も、空欄にはAnyoneが入り、「取締役会に質問がある人は誰でも、彼ら・彼女らに質問する豊富な時間が与えられます」(直訳)という意味になります。

whoever

次にwhoeverについて見ていきましょう。whoeverは基本的に関係代名詞です(各文法書では「複合関係代名詞または複合関係副詞である」などとも説明されます)。「…する人は誰でも」( = anyone who)、または「誰が…しようとも」( = no matter who)という意味を表します(※)。

したがって、必ず常にwhoeverイコールanyone who、とは限りません。上のとおり、whoeverがno matter whoと同義の場合もあるためです。ネット上の記事(このエントリーもネット上の記事ですが^^;)にはこの点がおおざっぱで、あたかも、必ず常にwhoeverイコールanyone whoであるかのように書いてあるものもありますので注意しましょう。

『新英和中辞典』(第7版,研究社,2003年)にはそれぞれ次の例文が載っています。

Whoever comes is welcome. (来る人は誰でも歓迎する。)

Whoever calls on me, tell him [her, them] I’m out. (誰が訪ねてきてもいないと言いなさい。)

英語の文法の授業やテキストなどで「関係詞節」や「関係代名詞節」という言葉を聞いた/目にしたことがあると思います。その言葉のとおり、関係代名詞は節を作ります。上の例文でいうと、次のように整理できます。

Whoever comesが名詞節。かつ、文の主部。isが文の述語動詞。この場合のWhoeverはAnyone whoと言い換え可能です。

Whoever calls on meが副詞節。この場合はNo matter who calls on meと言い換え可能です。

冒頭の設問・解説

冒頭の設問の場合、

Whoever has questions for our Board of Directors will be given ample time to ask them. (= Anyone who has questions for our Board of Directors will be given ample time to ask them.)

上のような文なら、Whoever (Anyone who) has questions for our Board of Directorsが名詞節かつ主部となり、正しい形になります。冒頭の設問はそうではないので、Anyoneの方が正答です。

なお、ampleはTOEICでしばしば目にする形容詞で、「広々とした」「大きい」「豊富な」といった意味を表します。覚えておきましょう。

neither, nobody, none, nothingのどれか?を問う問題

空所に入る語として適切なのはどちらでしょうかと、次の問題があったとします。

—— of the two answers are correct. (2つの回答はどちらも不正解だった。)

(A) Neither (B) None

正解は(A) Neitherです。neitherは(二者の)どちらも~でない(=bothに対応する否定語)。三者以上の否定にはnoneを用いる、という区別があります。

TOEICは4択ですので、上のような問題は、NobodyやNothingなども選択肢に含まれてきそうです。ですが、of句が続く場合、none of…やnot one of…という表現はできますが、no one ofやnobody ofという表現はできません。例えば

None of them answered. (誰も答えなかった。)は可ですが、

Nobody of them answered. は不可です。

そのためNobodyは正解にはなりません。こういうのは一つずつ覚えていくしかないですね。

※英語のコロケーション(語の配置,連語)が正しいかどうかを調べる際に,Googleで次のように調べると参考になります。すなわち、半角のクォーテーションマーク(二重引用符)「 “” 」でキーワードを囲んでGoogle検索をすると、入力したキーワードの順番で完全一致検索ができます。本エントリーを書いている時点で“none of them”を検索すると6億5700万件ものヒットがあります。一方“nobody of them”のヒット数は64万3千件まで下がります。また、検索結果の内容を見ても、「なぜ“nobody of”はダメなのですか?」のような記事が上位に来ています。これら(桁が違うようなヒット数や、ヒットした記事の内容)からも、nobody of themではなくnone of themだと推測できます。

nothing ofという表現はありますが、「少しも~ではない」(He is nothing of a gentleman. 彼には紳士らしいところは少しもない)という意味になります。そのためnothing ofも本問の場合不可です。

※本エントリーがヒントにした設問:『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST3 PART5」111(p. 81)