時制や態から正解を導くテクニック:have been assigned

本エントリーは『TOEICテスト新公式問題集 Vol. 4』(国際ビジネスコミュニケーション協会,2009年)の「TEST2 PART5」117(p.93)にヒントを得ています。その問題は、

Mr. Kato —— to work on the research project.

のような英文において、空所に入る語として適切なものを選ぶものです。選択肢には

(A) assigned (B) have been assigned (C) will assign

が並んでいます(実際は4択ですが、ここでは説明を分かりやすくするため3択にします)。

“時制や態から正解を導くテクニック:have been assigned” の続きを読む

previouslyは現在完了と一緒に使うことができる

時・条件を表す副詞節の中では、未来のことでも現在時制でも書きましたが、現在完了は、過去に起こった動作・状態を現在と結び付けて述べる場合に用いるもので、現在に力点が置かれます(例:「昔から今までずっと…している」)。そのため、明確な過去を表す副詞(句)と現在完了は一緒に用いることができません。

He came back from America yesterday. (以下は誤り:He has come back from America yesterday.)

現在完了と一緒に用いることができない副詞として、yesterdayやago、the other dayなどがよく挙がります。また、以下のようなwhen で始まる疑問文も、過去を尋ねるものであるため、「完了」の意味の現在完了と一緒に用いることができません。

When did he return home? (以下は誤り:When has he returned home?)

一方、現在完了と一緒に用いられる副詞もあります。注意したいものに、例えばbeforeがあります。日本語で考えると混乱しそうになりますが、beforeは意味次第で現在完了と過去形、どちらとともにでも使われます。

I have met him before. (以前に彼と会ったことがある。)

上の例でbeforeを訳せば「以前に」ですが、これは現在を基準にした「以前に」であり、現在完了と一緒に用いることができます。具体的に何年前という場合は“I met him two years ago.” のように過去形になります。

なお、『新英和中辞典』(研究社, 第7版, 2003年)には「beforeが単独で用いられる時、動詞は現在完了・過去完了・過去のいずれにも用いられるが、the day before、two days before などの副詞句の場合は動詞は過去完了を用いる」という指摘があります。

さらに、本エントリーで指摘しておきたいのは、タイトルのとおりpreviouslyです。上記のbeforeと同様の考え方で,previouslyは現在完了と一緒に使うことができ、TOEICでもこの点が問われる場合があるので注意が必要です。

He has previously worked at Google. (彼は以前Googleで働いていた。)

現在完了とともに用い、「かつて(…したことがある)」のような意味を表す副詞にeverがありますが,その意味のeverは疑問文や否定文で用います。平叙文や肯定文では用いません。そのため、この例文でpreviouslyの箇所が空所になっており、everか?previouslyか?を選ばせるような問題が出た場合、正解はpreviouslyです。

なお、todayやthis morning、this summer などは、まだその時期が過ぎていなければ現在完了とともに使うことができます。定評のある『ロイヤル英文法』から例を引いてみたいと思います。

I haven’t read today’s paper yet this morning. (けさの新聞をまだ読んでいない)〔午前中に言う場合〕(『ロイヤル英文法』旺文社, 改訂新版, 2000年, p. 422)

I didn’t read today’s paper this morning.〔午後に言う場合〕(同上)

本エントリーの主題でもある、「previouslyは現在完了と一緒に使うことができるかどうか」などは、日本語で考えるとどうしても混乱しがちです。文法書で論理を押さえつつ、暗唱できるくらい例文をたたき込んで、感覚的に覚えてしまうのも有効な方法です。

【TOEIC頻出】put onとwear

突然ですが、あなたは、put onとwearの違いを説明できますか?

「え~っと、どっちも「着る」だよな…?」と答えられる人は、一定以上の英語力があります。put onで「(衣類を)着る、(ズボンや靴などを)はく、(帽子などを)かぶる、(手袋などを)はめる、(化粧を)する」などの意味になることや、wearには名詞(「(衣類の)着用」や「衣類」、「すり切れ,摩耗,着古し」など)だけでなく動詞もあることを知っている人は多くはないだろうからです。

では、冒頭のように、wearとput onの違いをはっきり説明するとなると、どうでしょう?この点はTEOICに頻出の事項でもあり、しっかり押さえたいところです。結論から書くと次のとおりです。

  • put onはその場で「身に着ける」という動作を表す。
  • wearは「身に着けている」という状態を表す。

です。動作を表わす動詞と状態を表す動詞の違いは、前者は進行形になるが、後者は原則として進行形にならない(原則の例外:一時的な状態を表す場合などは進行形になる)、という点にあります。例えば、resemble(似ている)という動詞は状態を表し、原則的に、進行形にはなりません。「…ている」という字面だけみると「動作(進行形)を表すのかな?」と勘違いしそうになってしまいますが、意味を考えれば、動作でなく状態でOKだと分かるかと思います。

He resembles you. (彼はあなたに似ているね。)

※ただし、英語を母語としない日本人には、100%完璧に理解しづらい面もあるなあと思います。まあ仕方ないですね。例えばsleepは動作を表わす動詞であり、進行形OKとされます。つまり

He is sleeping. (彼は眠っている。)

上の例文は正しいです。ですが、「彼は眠っているって、動作というより、状態じゃないかなあ」という気もします。上記のとおり「英語を母語としない日本人には、100%完璧に理解しづらい面もある。まあ仕方ない。一つ一つ、コツコツ覚えるしかない」と思います。なお、上の例文に関しては英語ネイティブも同じように感じるのでしょうか、

He is asleep.

の方が自然とのことです(『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年.この場合のasleepは形容詞)。

話が広がりました。戻します。

上に書いたとおり「put onは動作(その場で「身に着ける」)。wearは状態(「身に着けている」)」はTOEICによく出ますので、覚えましょう。ただし、

She wore a white evening gown at the party. (彼女はパーティーで白い夜会服を着ていた。『ロイヤル英文法』改訂新版,旺文社,2000年,p.381.woreはwearの過去形)

例えば上の例文は、「…していた」と訳されますが、あくまでworeは状態を表します。上にも書きましたが、ある動詞について「…している(していた)」という日本語だけを目印にすると、その動詞が動作(進行形)を表すのか、それとも状態を表すのか、混乱してしまいますので注意が必要です。

また、上の例文は、

She was wearing a white evening gown at the party. (同上)

とすることも可能です。この場合でも状態(永続的でない、一時的な状態)を表しています。つまり「進行形のwearを見かけることはない、ということではない」です。

なお仮に、上の例文が

She put on a white evening gown at the party.

である場合、(それまでは着ていなかったが)「彼女はパーティーで、白い夜会服を着た」ことになります。

まずはリスニングの際に注意

なんだかいろいろ書いてしまいました。TOEICのことを考えると、以上から、何がいえるでしょうか?

もちろん、文法問題などでも気は抜けませんが、まず注意が必要なのはリスニングです。

  • He is putting on a jacket. (彼はジャケットを着ている(動作)
  • He wears [is wearing] a jacket. (彼はジャケットを着ている(状態)

上の2つでは、それぞれの英文と合致する写真が違ってきます。この点をひっかけに使ってくる問題がありますので留意しましょう。上の例に限りませんが、英文をGoogle画像検索すると違いがよく分かる場合があります。

※余談ですが、当サイト管理人はTOEICを受験していて、“He is holding a jacket.”という表現に出くわしたことがあります(注:TOEICの設問自体をここで暴露しているわけではありません)。これもGoogle画像検索が便利ですが、「ジャケットを(折って手にかけるように)手に持っている」という意味になります。

wearには「(…を)すり減らす、使い古す」という意味もあります。考えてみれば日本語もそうですが、英語も、勉強できることは無数にあるなあと思います。

His shoes are worn out. (彼の靴はすっかりすり減っている。)

put onの対義語はtake offput off(延期する)ではなく)です。ただし、名詞のtakeoffまたはtake-offは「離陸」などの意味です。

He took off his shoes. (彼は靴を脱いだ。)