for fear (that), in case, lestは高校生用の参考書にも出てきますが、意味合いや用法は三者同一ではなく、覚えづらいです。本エントリーではこれらについて整理したいと思います。
for fear (that)
「…しないように」、「…するといけないから」、「…するのを恐れて」
Take your umbrella with you for fear it should rain. (=Take your umbrella with you for fear of rain. 雨が降るといけないから、傘を持っていきなさい。)
※fearの導く節ではshouldやmight, さらにはmay, will, wouldも用います。
※「…しないように」という日本語にひきずられてnotを入れてしまわないように注意が必要です(下記のlestも同様)。
Take care for fear you should catch cold. (風邪をひかないように注意してね。)
(×Take care for fear you should not catch cold.)
(なお、次のとおり言い換え可能です:Take care not to catch cold.)
※lestやin caseと比較して、「…するのを恐れて」という意味合いがあります(fearは名詞で「恐れ、恐怖、不安、心配」、動詞で「恐れる、怖がる、ためらう」などの意味ですね)。以下のように、物騒な例文がオンライン辞典に載っています。
I had to run away for fear (that) he might one day kill me.
(Oxford Learner’s Dictionaries. https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/ , (accessed 2023-08-26).)She finally ran away for fear that he would kill her.
(Longman English Dictionary Online. https://www.ldoceonline.com/ , (accessed 2023-08-26).)
in case
1.「…するといけないから」、「…の場合に備えて」
Take your umbrella with you in case it rains.(イギリス英語ではin case it should rain. 雨が降るといけないから、傘を持っていきなさい。)
(=Take your umbrella with you in case of rain.)
※in case の導く節では直説法を用います。すなわち、主語の人称・数・時制によって動詞の形が決まります。節中に should を用いる場合もあり、その場合、続く動詞は原形です。
※lest, for fear (that) に比べてくだけた言い方(口語的な言い方)です(※※)。ただし、節中に should を用いる場合は堅い口調になります。
※※in caseの導く節は上記のとおり直説法であり、下記のlestの場合よりも日本人にとって分かりやすいような気がします。また、for fear (that)やlestと異なり、「…しないように」という日本語にひきずられてnotを入れてしまわないように注意、ということもありません。これらを考えると、for fear (that)やlestよりも、日本人にとって使いやすいようにも思います(すなわち、for fear (that), in case, lestのうち、とりあえずin caseを覚えておけば、英会話などで活用しやすいようにも思います)。
2.アメリカ英語では、in caseをifの意味で用いる場合があります。たとえば、以下の2つ目の例文は、「彼に会うといけないから」「彼にあった場合に備えて」とはなりませんので、そうしたin caseの用法(上記「1」)とは区別して覚える必要があります。
In case anything happens, call me immediately. (もし何かあったら、すぐに私に電話をください。『ロイヤル英文法』旺文社,改訂新版,2000年,p. 622)
In case you see him, give him my regards. (もし彼に会ったら、よろしくといってくれ。『現代英文法講義』開拓社,2005年,p.608)
lest
「…しないように」、「…するといけないから」
Take your umbrella with you lest it rain.(またはlest it should rain. 雨が降るといけないから、傘を持っていきなさい。)
※lest の導く節では仮定法現在(=形としては動詞の原形)を用います。主にイギリス英語で改まった言い方の場合、shouldを用います。
※「…しないように」という日本語にひきずられてnotを入れてしまわないように注意が必要です(上記のfor fear (that)も同様)。
Take care lest you catch cold. (風邪をひかないように注意してね。)
(×Take care lest you do not catch cold.)
(なお、次のとおり言い換え可能です:Take care not to catch cold.)