toの後ろは原形か?動名詞か?

He is willing to —— me. (私を助けることを彼はいとわない。)
(A) help  (B) helping

空所に入る語として適切なのは、(A)と(B)どちらでしょうか?

答えは (B) helpです。be willing to doで「…するのをいとわない」、「…してもかまわない」という意味です。be willing to doingではありません。

問題をもうひとつ。
I’m looking forward to —— you again. (あなたにまた会えることを楽しみにしています。)
(A) see  (B) seeing

空所に入る語として適切なのは、(A)と(B)どちらでしょうか?

答えは (B) seeingです。look forward to doingで「…を楽しみにして待つ、期待する」という意味です。この場合、toの後に動詞の原形が来てbe looking forward to doではありません。

それでは、次の問題では、空所に入る語として適切なのは(A)と(B)どちらでしょうか?

He’ll be pleased to —— Nancy. (彼はナンシーのことを喜んで手伝うだろう。)
(A) help  (B) helping

答えは (A) helpです。be pleased to doで「喜んで…する」という意味になります。即答できる方もいると思いますが、上のbe willing to doやbe looking forward to doingと比べると悩む方も多いかと思います。

そもそも、be動詞+形容詞+toや動詞+副詞+toの後ろには原形が来るか?それとも動名詞が来るか?を素早く判断するための公式のようなものはあるでしょうか?

筆者じしん勉強中ですが、今のところ解法のテクニックとして、次のように考えています。

1. 基本的に、原形が来ることが多い。

2. 動名詞が来る場合、パターンは決まっている。代表例は以下のとおり(以下、動名詞でなく(代)名詞が来る場合もある)。

look forward to doing(…を楽しみにして待つ,期待する)

be used to doing(…に慣れている。become used to doing, get used to doingなどの形もある)

※used to 原形は「よく…したものだ、以前は…であった」。

be accustomed to doing(…に慣れている。become accustomed to doing, get accustomed to doingの形もある)

dedicated O to doing(…専念する、打ち込む)

以上、どれも見逃せませんが、最後に挙げたdedicated to O doingもTOEICで狙われる可能性があるので要チェックです。

He dedicated his life to helping orphans. (彼は孤児を助けることに一生をささげた。)

She dedicated herself to teaching English. (彼女は英語教育に身をささげた。)

参考:to不定詞か、動名詞ingか、どちらが来るかの見極め 以上考察してきたことは、be動詞+形容詞+toや動詞+副詞+toの後ろには原形が来るか、それとも動名詞が来るかを素早く判断するためには?です。一方、左記のエントリーでは、タイトルのとおり、「ある動詞に続くのがto不定詞か、それとも動名詞ingか」の原則を整理するなどしています。

to不定詞か、動名詞ingか、どちらが来るかの見極め

「知らないと解けない」「かつ、大学受験英語などであまり見かけない」単語・熟語をTOEICはしばしば問うてくる。コツコツ一つずつ覚えていくしかない、という指摘をいくつかのエントリーでしてきました。

read … closely(…を精読する、…を念入りに読む)

他動詞の目的語の基本と応用:「burden, impose」「circle, roll, spin」「search」を例に考える

「残り、余り、やり残し、(口座や負債の)残高」の意味のbalanceと、一緒に覚えておきたいremainder

groceriesには食料が含まれ、grocery storeでは食料品が売っている

「ごくわずかの、(可能性などが)ありそうにない」という意味のremote

本エントリーは、反対に、「そのものズバリを知らなくとも、原則を覚えておけば何とかなる」タイプの問題を紹介・解説します。

『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST7 PART6」131-134(p. 203)に、「新たな奨励制度を用いれば」という趣旨の文章に続けて、次のような問題が出てきます。

Sales associates will now have the opportunity —— tickets to concerts, sporting events, and theater performances.

(新たな奨励制度を用いれば)「わが社の店員はコンサートやスポーツイベント、観劇のチケットを手にする機会を得るでしょう」という意味の英文になるために正しいものを選ばねばなりません。選択肢の中に(A) to earnと(B)earningがあり,どちらかが正解です。さてどっちでしょう…?

正解は(A) to earnです。opportunity to doで「…する機会」という意味になります。

May I take this opportunity to express my thanks? (この機会に謝意を述べさせてください。『新英和中辞典』第7版,研究社,2003年)

この問題は、opportunity to doそのものズバリを知らなくとも、原則を覚えておけば何とかなるタイプのものです。

※opportunityは名詞です。一方、以下は動詞の解説です。ですが、以下の「原則」は通底する話です。

当ブログ管理人は、高校生の頃、「動詞には、to不定詞を目的語にするものも、動名詞を目的語にするものも、どちらもある。それらのどちらも目的語にすることができ、どちらなのかによって意味が異なるものもある。to不定詞が目的語になる場合、まだ行われていないこと(これから行われること、未来のこと)を、動名詞が目的語になる場合、既に行われたこと(過去のこと)を表す傾向がある」と授業で習いました。例えば以下のような違いをその先生は例に出しました。以下の例はおおよそ、上に書いた「傾向」に当てはまっているように思います。

remember to do:忘れずに…する

I must remember to see you. (忘れずにあなたに会わねばならない。)

remember …ing:…したことを覚えている

I remember seeing you. (あなたに会ったことを覚えている。)

forget to do:(これから)することを忘れる

I won’t forget to see you. (忘れずに会おう。)

forget …ing:…したことを忘れる

I won’t forget seeing you. (会ったことを忘れないだろう。)

regret to:残念ながら…しなければならない

I regret to say goodbye. (残念ながらさよならを言わねばならない。)

regret …ing:…したことを後悔する

I regret saying goodbye. (さよならしたことを後悔している。)

※ただし、過去のことを明示する場合には完了動名詞を用い、次のようにいう。

I regret having said good bye.

stop to do:…するために立ち止まる,立ち止まって…する

He stopped to smoke. (彼は立ち止まってタバコを吸った。)

stop …ing:…をやめる

He stopped smoking. (彼はタバコを吸うのをやめた。)

try to do:…しようと努力する

I tried to open the window. (私は窓を開けようとした。)

try …ing:試しに…してみる

I tried opening the window. (私は窓を開けてみた。)

need to(…する必要がある)などに対して、needなどの後に来る動名詞は受動の意味を表す。

I need to work. (働かねばならない。)

My bicycle needs repairing. (= My bicycle needs to be repaired. 私の自転車は修理の必要がある。)

※ただし、分かりやすく比較するために上のとおり書きましたが、stop to doのto doは目的語ではなく、この場合のstopは自動詞です。

高校の先生も、大学で学んだことや教師用指導書、各種の資料に基づいてわれわれに教えていたはずです。正確なところを調べるべく、各文法書を引いてみると、例えば次のとおり書いてあります。

to不定詞のtoは、元来方向・方面を示す前置詞であるから、今でもto不定詞は、これからある行動をとろう、ある状態になろうという意志や感情を示す動詞につく傾向があり、動詞的性格が強い。

動名詞はto不定詞よりも名詞に近く、静的な感じで、現在あるいはこれまでに事実となっていることをどうこうするという動詞につく傾向がある。to不定詞とは違い、消極的な意味の動詞が多い。

* look forward to ~ing(~するのを楽しみにする)など動名詞が未来のことを表す場合もある。

(『ロイヤル英文法』改訂新版,旺文社,2000年,p.536)

原則の1 a)不定詞は時間的に未来を指向する動作・状態を示す。これに対して動名詞はb)時間的に中立ではあるが、c)過去を指向することもできる。(後略)

  1. a) He promised to come (= that he would come). (来ると約束した)
  2. b) Most women enjoy shopping. (たいていの女性は買い物が好きです)
  3. c) The boy admitted teasing the cat (= that he had teased the cat). (その子は猫をいじめたことを認めた)

原則の2 a)不定詞だけを目的語とする動詞は希望・要求・意図・決心など,動作の実現に対して積極的な含みを持っているが、b)回避・延期・休止など、動作の実現に対して消極的な含みを持つ動詞は動名詞だけを目的語とする。

  1. a) I want to go for a walk. (私は散歩に行きたい)
  2. b) Let’s avoid wasting (時間の浪費は避けよう)

(『英文法解説』改訂3版,金子書房,1991年,p.362)

ある動詞に続くのがto不定詞か、それとも動名詞ingかは、TOEICに頻出の事項です。

動名詞だけを目的語にとる動詞には、例えば以下があります。

admit(※),  avoid, consider, deny, enjoy, escape(※※) , excuse, fancy, finish, give up(※※※), involve, mind, postpone, put off

(※)He admitted having stolen the money. (彼は自分がその金を盗んだと白状した。『新英和中辞典』第7版,研究社,2003年)など。ただしThe report was admitted to be inaccurate.(その報告が不正確であると認められた。(同上))のような、「admit+目的語+(to be)補語」の用例があるので見極めに注意。consider, deny, fancyも同様。

(※※)例えば次のように用いる。The boy barely escaped being hit  by a car. (少年はもう少しのところで車にひかれるところだった。『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年)to be hitは不可。

(※※※)I gave up smoking. (たばこはやめたよ。)など。ただしI gave up my seat to an old man. (老人に席を譲った。)のような用例があるので混乱しないよう注意。

例えば上記のような、動名詞だけを目的語にとる動詞の主な例を覚えておく(それら以外は、原則的には、to不定詞が続くことになります)のも有用です。TOEICの直前にチェックすると安心材料になるかもしれません。

それらの中には、「知らないと解けない」「一つひとつ頭に叩き込むべし」と思えるものもありますが、一方で、原則を覚えておけば何とかなるものもあります。そのことをお伝えすべく本エントリーを書いた次第です。

※話が広がってしまいますが参考までに、「by以外の前置詞を用いる受動態」も頻出です。例えば『ロイヤル英文法』(改訂新版,旺文社,2000年)579-580ページに整理されています。「それらのページをスマホの写真に収めて個人的に持っておき、TOEICの直前にチェックする」というテクニックが使えると思います。

参考:toの後ろは原形か?動名詞か? 以上述べてきたことは、「ある動詞に続くのがto不定詞か、それとも動名詞ingか」です。一方、左記のエントリーでは、タイトルのとおり、be動詞+形容詞+toや動詞+副詞+toの後ろには原形が来るか、それとも動名詞が来るかを素早く判断するためには?を考察しています。