effective next Monday:日付や曜日に直接つくeffective

本エントリーは『TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編』(国際ビジネスコミュニケーション協会,2016年)p.92の「PART5,125」にヒントを得ています。

上の問題は、「残念ながらA氏が今度の月曜日付で職を辞任します」という趣旨の文の中で、「月曜日付」が “effective next Monday” だと分かるかどうかが穴埋め式の問題で問われています(詳細は、同書の該当箇所を参照してください)。

当サイト管理人自身が勉強不足で、この問題に気付かされた点が、「日付や曜日の前につけてその日から有効になることを表す」(同書解答・解説p. 126)という働きがeffectiveにはあるということです。

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副詞は副詞を修飾する:副詞は何を修飾するか?のおさらい

副詞の主な用法は、動詞や形容詞、副詞などを修飾することです。一方、形容詞は名詞を修飾します(形容詞の用法はこれだけではありませんが、副詞と対照的な部分だけを取り出せばこういえます)。

副詞の例:
1. Read the sentence carefully. (その文を注意して読みなさい。)
副詞carefullyが動詞readを修飾しています。

2. I’m really sorry.(本当に申し訳ありません。)
副詞reallyが形容詞sorryを修飾しています。

3. He speaks Japanese very well.(彼はとても上手に日本語を話す。)
副詞veryが副詞wellを修飾しています。

形容詞の例:
a tall man (背の高い男)
形容詞tallが名詞manを修飾しています。

なお、
Only Mr. Parker understood what was happening.(パーカー氏だけには何が起こっているのか分かっていた。『ロイヤル英文法』(改訂新版旺文社,2000年)p. 318)
のように、副詞が名詞を修飾する例もあります

さて、TOEICのPART5でよく見かけるタイプの設問に、副詞は副詞を修飾する(上の副詞の例3)点を問うものがあります。例えば次のような問題です。空所に入る語として適切なのはどちらでしょうか?

Because several celebrities recommended them, our company’s products sold —— well. (何人かの有名人が推薦したため、わが社の製品は驚くほどよく売れた。)

(A) amazing  (B) amazingly

副詞wellを修飾することができる副詞(B) amazinglyが正解です。副詞が副詞を修飾する場合があるのは、日本語も同じです(例:「彼はとてもゆっくり歩いた。」←副詞「ゆっくり」を副詞「とても」が修飾しています)。この点を押さえていれば、間違える確率はぐっと低くなります。楽曲の「アメイジング・グレイス」(“Amazing Grace”)を何となく思い出して、(A) amazingを何となく選んでしまう、などのないようにしましょう。

なお、上の問題文の後半は“our company’s products sold amazingly well”となるわけですが、動詞sell(過去形はsold)は自動詞にも他動詞にも用いられます。本問の場合は目的語がないので、自動詞です。すなわち“our company’s products sold.”で「わが社の製品は売れた」という意味になります。

以上は、初心者向けの内容かもしれませんが、TOEICのPART5でよく見かけますし、中級者以上の方も、時間内で速く解くことを意識し過ぎるあまり、ついうっかり間違えてしまうことがあるかもしれません。おさらいの意味も込めて本エントリーを書いた次第です。

※本エントリーがヒントにした設問:『公式TOEIC Listening & Reading 問題集6』(国際ビジネスコミュニケーション協会, 2020年)の「TEST1 PART5」112(p. 43)

for fear (that), in case, lest

for fear (that), in case, lestは高校生用の参考書にも出てきますが、意味合いや用法は三者同一ではなく、覚えづらいです。本エントリーではこれらについて整理したいと思います。

for fear (that)

「…しないように」、「…するといけないから」、「…するのを恐れて」

Take your umbrella with you for fear it should rain. (=Take your umbrella with you for fear of rain. 雨が降るといけないから、傘を持っていきなさい。)

fearの導く節ではshouldやmight, さらにはmay, will, wouldも用います。

「…しないように」という日本語にひきずられてnotを入れてしまわないように注意が必要です(下記のlestも同様)。

Take care for fear you should catch cold. (風邪をひかないように注意してね。)
(×Take care for fear you should not catch cold.)
(なお、次のとおり言い換え可能です:Take care not to catch cold.)

※lestやin caseと比較して、「…するのを恐れて」という意味合いがあります(fearは名詞で「恐れ、恐怖、不安、心配」、動詞で「恐れる、怖がる、ためらう」などの意味ですね)。以下のように、物騒な例文がオンライン辞典に載っています。

I had to run away for fear (that) he might one day kill me.
(Oxford Learner’s Dictionaries. https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/ ,  (accessed 2023-08-26).)

She finally ran away for fear that he would kill her.
(Longman English Dictionary Online. https://www.ldoceonline.com/ , (accessed 2023-08-26).)

 in case

1.「…するといけないから」、「…の場合に備えて」

Take your umbrella with you in case it rains.(イギリス英語ではin case it should rain. 雨が降るといけないから、傘を持っていきなさい。)
(=Take your umbrella with you in case of rain.)

in case の導く節では直説法を用います。すなわち、主語の人称・数・時制によって動詞の形が決まります。節中に should を用いる場合もあり、その場合、続く動詞は原形です。

lest, for fear (that) に比べてくだけた言い方(口語的な言い方)です(※※)。ただし、節中に should を用いる場合は堅い口調になります。

※※in caseの導く節は上記のとおり直説法であり、下記のlestの場合よりも日本人にとって分かりやすいような気がします。また、for fear (that)やlestと異なり、「…しないように」という日本語にひきずられてnotを入れてしまわないように注意、ということもありません。これらを考えると、for fear (that)やlestよりも、日本人にとって使いやすいようにも思います(すなわち、for fear (that), in case, lestのうち、とりあえずin caseを覚えておけば、英会話などで活用しやすいようにも思います)。

2.アメリカ英語では、in caseをifの意味で用いる場合があります。たとえば、以下の2つ目の例文は、「彼に会うといけないから」「彼にあった場合に備えて」とはなりませんので、そうしたin caseの用法(上記「1」)とは区別して覚える必要があります。

In case anything happens, call me immediately. (もし何かあったら、すぐに私に電話をください。『ロイヤル英文法』旺文社,改訂新版,2000年,p. 622)

In case you see him, give him my regards. (もし彼に会ったら、よろしくといってくれ。『現代英文法講義』開拓社,2005年,p.608)

lest

「…しないように」、「…するといけないから」

Take your umbrella with you lest it rain.(またはlest it should rain. 雨が降るといけないから、傘を持っていきなさい。)

lest の導く節では仮定法現在(=形としては動詞の原形)を用います。主にイギリス英語で改まった言い方の場合、shouldを用います。

「…しないように」という日本語にひきずられてnotを入れてしまわないように注意が必要です(上記のfor fear (that)も同様)。

Take care lest you catch cold. (風邪をひかないように注意してね。)
(×Take care lest you do not catch cold.)
(なお、次のとおり言い換え可能です:Take care not to catch cold.)

all, each, everyとそれらに続く名詞の単数/複数の区別など

「全ての」を英語でいうと?と聞かれれば、allやeveryが思い浮かぶのではないでしょうか。形容詞としてのall, every(さらにeachも)に続く名詞は単数形でしょうか、複数形でしょうか、即答できますか?また、代名詞としてのallやeachは単数扱いか、複数扱いか(それらの次に来る動詞に三人称単数現在のsが付いている場合はあるか/ないか)、説明できますか?本エントリーではそれらについて解説します。

はじめに:時間のない方へ、ポイントの超・要約

形容詞用法のall, every, eachの中からどれかを選ぶ設問の場合、複数形を修飾するのはallのみです。everyとeachの後には単数形が続きます(ただし、例えば代名詞用法の場合など、より詳しく学ぶべき事項もあります。それらについてはこのエントリーの後続の記述も参考にしてください)。例えば、空所に入る語として適切なのはどちらでしょうかと、次の問題があるとします。

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【TOEIC頻出】put onとwear

突然ですが、あなたは、put onとwearの違いを説明できますか?

「え~っと、どっちも「着る」だよな…?」と答えられる人は、一定以上の英語力があります。put onで「(衣類を)着る、(ズボンや靴などを)はく、(帽子などを)かぶる、(手袋などを)はめる、(化粧を)する」などの意味になることや、wearには名詞(「(衣類の)着用」や「衣類」、「すり切れ,摩耗,着古し」など)だけでなく動詞もあることを知っている人は多くはないだろうからです。

では、冒頭のように、wearとput onの違いをはっきり説明するとなると、どうでしょう?この点はTEOICに頻出の事項でもあり、しっかり押さえたいところです。結論から書くと次のとおりです。

  • put onはその場で「身に着ける」という動作を表す。
  • wearは「身に着けている」という状態を表す。

です。動作を表わす動詞と状態を表す動詞の違いは、前者は進行形になるが、後者は原則として進行形にならない(原則の例外:一時的な状態を表す場合などは進行形になる)、という点にあります。例えば、resemble(似ている)という動詞は状態を表し、原則的に、進行形にはなりません。「…ている」という字面だけみると「動作(進行形)を表すのかな?」と勘違いしそうになってしまいますが、意味を考えれば、動作でなく状態でOKだと分かるかと思います。

He resembles you. (彼はあなたに似ているね。)

※ただし、英語を母語としない日本人には、100%完璧に理解しづらい面もあるなあと思います。まあ仕方ないですね。例えばsleepは動作を表わす動詞であり、進行形OKとされます。つまり

He is sleeping. (彼は眠っている。)

上の例文は正しいです。ですが、「彼は眠っているって、動作というより、状態じゃないかなあ」という気もします。上記のとおり「英語を母語としない日本人には、100%完璧に理解しづらい面もある。まあ仕方ない。一つ一つ、コツコツ覚えるしかない」と思います。なお、上の例文に関しては英語ネイティブも同じように感じるのでしょうか、

He is asleep.

の方が自然とのことです(『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年.この場合のasleepは形容詞)。

話が広がりました。戻します。

上に書いたとおり「put onは動作(その場で「身に着ける」)。wearは状態(「身に着けている」)」はTOEICによく出ますので、覚えましょう。ただし、

She wore a white evening gown at the party. (彼女はパーティーで白い夜会服を着ていた。『ロイヤル英文法』改訂新版,旺文社,2000年,p.381.woreはwearの過去形)

例えば上の例文は、「…していた」と訳されますが、あくまでworeは状態を表します。上にも書きましたが、ある動詞について「…している(していた)」という日本語だけを目印にすると、その動詞が動作(進行形)を表すのか、それとも状態を表すのか、混乱してしまいますので注意が必要です。

また、上の例文は、

She was wearing a white evening gown at the party. (同上)

とすることも可能です。この場合でも状態(永続的でない、一時的な状態)を表しています。つまり「進行形のwearを見かけることはない、ということではない」です。

なお仮に、上の例文が

She put on a white evening gown at the party.

である場合、(それまでは着ていなかったが)「彼女はパーティーで、白い夜会服を着た」ことになります。

まずはリスニングの際に注意

なんだかいろいろ書いてしまいました。TOEICのことを考えると、以上から、何がいえるでしょうか?

もちろん、文法問題などでも気は抜けませんが、まず注意が必要なのはリスニングです。

  • He is putting on a jacket. (彼はジャケットを着ている(動作)
  • He wears [is wearing] a jacket. (彼はジャケットを着ている(状態)

上の2つでは、それぞれの英文と合致する写真が違ってきます。この点をひっかけに使ってくる問題がありますので留意しましょう。上の例に限りませんが、英文をGoogle画像検索すると違いがよく分かる場合があります。

※余談ですが、当サイト管理人はTOEICを受験していて、“He is holding a jacket.”という表現に出くわしたことがあります(注:TOEICの設問自体をここで暴露しているわけではありません)。これもGoogle画像検索が便利ですが、「ジャケットを(折って手にかけるように)手に持っている」という意味になります。

wearには「(…を)すり減らす、使い古す」という意味もあります。考えてみれば日本語もそうですが、英語も、勉強できることは無数にあるなあと思います。

His shoes are worn out. (彼の靴はすっかりすり減っている。)

put onの対義語はtake offput off(延期する)ではなく)です。ただし、名詞のtakeoffまたはtake-offは「離陸」などの意味です。

He took off his shoes. (彼は靴を脱いだ。)

to不定詞か、動名詞ingか、どちらが来るかの見極め

「知らないと解けない」「かつ、大学受験英語などであまり見かけない」単語・熟語をTOEICはしばしば問うてくる。コツコツ一つずつ覚えていくしかない、という指摘をいくつかのエントリーでしてきました。

read … closely(…を精読する、…を念入りに読む)

他動詞の目的語の基本と応用:「burden, impose」「circle, roll, spin」「search」を例に考える

「残り、余り、やり残し、(口座や負債の)残高」の意味のbalanceと、一緒に覚えておきたいremainder

groceriesには食料が含まれ、grocery storeでは食料品が売っている

「ごくわずかの、(可能性などが)ありそうにない」という意味のremote

本エントリーは、反対に、「そのものズバリを知らなくとも、原則を覚えておけば何とかなる」タイプの問題を紹介・解説します。

『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST7 PART6」131-134(p. 203)に、「新たな奨励制度を用いれば」という趣旨の文章に続けて、次のような問題が出てきます。

Sales associates will now have the opportunity —— tickets to concerts, sporting events, and theater performances.

(新たな奨励制度を用いれば)「わが社の店員はコンサートやスポーツイベント、観劇のチケットを手にする機会を得るでしょう」という意味の英文になるために正しいものを選ばねばなりません。選択肢の中に(A) to earnと(B)earningがあり,どちらかが正解です。さてどっちでしょう…?

正解は(A) to earnです。opportunity to doで「…する機会」という意味になります。

May I take this opportunity to express my thanks? (この機会に謝意を述べさせてください。『新英和中辞典』第7版,研究社,2003年)

この問題は、opportunity to doそのものズバリを知らなくとも、原則を覚えておけば何とかなるタイプのものです。

※opportunityは名詞です。一方、以下は動詞の解説です。ですが、以下の「原則」は通底する話です。

当ブログ管理人は、高校生の頃、「動詞には、to不定詞を目的語にするものも、動名詞を目的語にするものも、どちらもある。それらのどちらも目的語にすることができ、どちらなのかによって意味が異なるものもある。to不定詞が目的語になる場合、まだ行われていないこと(これから行われること、未来のこと)を、動名詞が目的語になる場合、既に行われたこと(過去のこと)を表す傾向がある」と授業で習いました。例えば以下のような違いをその先生は例に出しました。以下の例はおおよそ、上に書いた「傾向」に当てはまっているように思います。

remember to do:忘れずに…する

I must remember to see you. (忘れずにあなたに会わねばならない。)

remember …ing:…したことを覚えている

I remember seeing you. (あなたに会ったことを覚えている。)

forget to do:(これから)することを忘れる

I won’t forget to see you. (忘れずに会おう。)

forget …ing:…したことを忘れる

I won’t forget seeing you. (会ったことを忘れないだろう。)

regret to:残念ながら…しなければならない

I regret to say goodbye. (残念ながらさよならを言わねばならない。)

regret …ing:…したことを後悔する

I regret saying goodbye. (さよならしたことを後悔している。)

※ただし、過去のことを明示する場合には完了動名詞を用い、次のようにいう。

I regret having said good bye.

stop to do:…するために立ち止まる,立ち止まって…する

He stopped to smoke. (彼は立ち止まってタバコを吸った。)

stop …ing:…をやめる

He stopped smoking. (彼はタバコを吸うのをやめた。)

try to do:…しようと努力する

I tried to open the window. (私は窓を開けようとした。)

try …ing:試しに…してみる

I tried opening the window. (私は窓を開けてみた。)

need to(…する必要がある)などに対して、needなどの後に来る動名詞は受動の意味を表す。

I need to work. (働かねばならない。)

My bicycle needs repairing. (= My bicycle needs to be repaired. 私の自転車は修理の必要がある。)

※ただし、分かりやすく比較するために上のとおり書きましたが、stop to doのto doは目的語ではなく、この場合のstopは自動詞です。

高校の先生も、大学で学んだことや教師用指導書、各種の資料に基づいてわれわれに教えていたはずです。正確なところを調べるべく、各文法書を引いてみると、例えば次のとおり書いてあります。

to不定詞のtoは、元来方向・方面を示す前置詞であるから、今でもto不定詞は、これからある行動をとろう、ある状態になろうという意志や感情を示す動詞につく傾向があり、動詞的性格が強い。

動名詞はto不定詞よりも名詞に近く、静的な感じで、現在あるいはこれまでに事実となっていることをどうこうするという動詞につく傾向がある。to不定詞とは違い、消極的な意味の動詞が多い。

* look forward to ~ing(~するのを楽しみにする)など動名詞が未来のことを表す場合もある。

(『ロイヤル英文法』改訂新版,旺文社,2000年,p.536)

原則の1 a)不定詞は時間的に未来を指向する動作・状態を示す。これに対して動名詞はb)時間的に中立ではあるが、c)過去を指向することもできる。(後略)

  1. a) He promised to come (= that he would come). (来ると約束した)
  2. b) Most women enjoy shopping. (たいていの女性は買い物が好きです)
  3. c) The boy admitted teasing the cat (= that he had teased the cat). (その子は猫をいじめたことを認めた)

原則の2 a)不定詞だけを目的語とする動詞は希望・要求・意図・決心など,動作の実現に対して積極的な含みを持っているが、b)回避・延期・休止など、動作の実現に対して消極的な含みを持つ動詞は動名詞だけを目的語とする。

  1. a) I want to go for a walk. (私は散歩に行きたい)
  2. b) Let’s avoid wasting (時間の浪費は避けよう)

(『英文法解説』改訂3版,金子書房,1991年,p.362)

ある動詞に続くのがto不定詞か、それとも動名詞ingかは、TOEICに頻出の事項です。

動名詞だけを目的語にとる動詞には、例えば以下があります。

admit(※),  avoid, consider, deny, enjoy, escape(※※) , excuse, fancy, finish, give up(※※※), involve, mind, postpone, put off

(※)He admitted having stolen the money. (彼は自分がその金を盗んだと白状した。『新英和中辞典』第7版,研究社,2003年)など。ただしThe report was admitted to be inaccurate.(その報告が不正確であると認められた。(同上))のような、「admit+目的語+(to be)補語」の用例があるので見極めに注意。consider, deny, fancyも同様。

(※※)例えば次のように用いる。The boy barely escaped being hit  by a car. (少年はもう少しのところで車にひかれるところだった。『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年)to be hitは不可。

(※※※)I gave up smoking. (たばこはやめたよ。)など。ただしI gave up my seat to an old man. (老人に席を譲った。)のような用例があるので混乱しないよう注意。

例えば上記のような、動名詞だけを目的語にとる動詞の主な例を覚えておく(それら以外は、原則的には、to不定詞が続くことになります)のも有用です。TOEICの直前にチェックすると安心材料になるかもしれません。

それらの中には、「知らないと解けない」「一つひとつ頭に叩き込むべし」と思えるものもありますが、一方で、原則を覚えておけば何とかなるものもあります。そのことをお伝えすべく本エントリーを書いた次第です。

※話が広がってしまいますが参考までに、「by以外の前置詞を用いる受動態」も頻出です。例えば『ロイヤル英文法』(改訂新版,旺文社,2000年)579-580ページに整理されています。「それらのページをスマホの写真に収めて個人的に持っておき、TOEICの直前にチェックする」というテクニックが使えると思います。

参考:toの後ろは原形か?動名詞か? 以上述べてきたことは、「ある動詞に続くのがto不定詞か、それとも動名詞ingか」です。一方、左記のエントリーでは、タイトルのとおり、be動詞+形容詞+toや動詞+副詞+toの後ろには原形が来るか、それとも動名詞が来るかを素早く判断するためには?を考察しています。

TOEICの「筋(すじ)」を読む:深く考え過ぎない

TOEICの「筋(すじ)」

『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST4 PART7」設問161-163(p. 123)は、「かつて造船所だった所に遊歩道をつくることになりました。そこにはレストラン、たくさんの小売店(a dozen retail businesses)、ライブパフォーマンスが行われる中庭(patio)ができる予定です」のような内容です。まあ、TOEICでよく見かけるパターンの文章だと思います。

本エントリーで強調したいのは、TOEICの「筋(すじ)」を読むこと、TOEICの「流れ」に沿って回答することです(※)。…書いていて、うまく言葉にするのが難しいなあと感じるのですが、一つの側面(あくまで一つの側面)をシンプルにいえば「深く考え過ぎない」ともなりましょうか。

(※)TEX加藤先生のブログに「TOEICで満点を取るための秘訣は、ずばり、「TOEICと一体化すること」です」という記述がありました(満点に必要なRの正答数 強調、当サイト管理人)。TEX加藤先生先生と同じ境地だ、のような不遜なことは申せませんが、どこか相通じる気がいたします。

上のような内容の英文の後に、設問が続きます。一問目(設問161)は「予定に含まれていないものは次のうちどれでしょうか?」というもので、選択肢は(A) Office spaces, (B) Entertainment, (C) A shopping section, (D) Eating establishments(飲食施設)です。

(B) Entertainmentにはライブパフォーマンスが、(C) A shopping sectionには小売店が、(D) Eating establishmentsにはレストランが該当しますので、正解は(A) Office spaces(事務所スペース)です。

以上は、シンプルに考えればサクッと正解できるのですが、「小売店(retail business)で働く人たちも、事務的な仕事をせねばならないときがあるだろうから、お店の中に事務所スペースがあるだろう」のように考え込んでしまうと、(A) Office spacesを選べずに、不正解になってしまいます。視覚的・直感的に、小売店(retail business)のbusinessと(A) Office spacesのofficeが何となく関連があるようにも見えて、少しだけひっかけ問題の要素もあります。そのことも、考え込んでしまうとダメになるのに一役買っています。

なお、patioやestablishmentはTOEICあるある英語です。

patio:中庭,テラス

establishment:権力層、支配者層という意味もありますが,上のeating establishmentsのように、TOEICでは機関、施設、敷地、建物、民間組織という意味がよく問われます。

「深く考え過ぎない」かつ「ちゃんと確実に英文を読む」(両者は別のもの)

上記の設問161-163では続けて、「以下のうち、本文から示唆されるものはどれですか」のような問題があります(設問162)。選択肢に「造船所で働いた人々の記念碑を建てる」というものがあります。一方、本文には「造船所での労働を後世の人に知ってもらうために、造船技師たちは、造船所だった場所の入り口付近の壁に名前を彫り付けた」という趣旨の記述があります。上の選択肢「造船所で働いた人々の記念碑を建てる」を選ぶと不正解になります。この設問は、急いで解いている人に対するひっかけの一種のようにも思えます。この場合は、「深く考え過ぎてはダメ」ではなく、「ちゃんと確実に英文を読めなければダメ」という例です(両者は別のものです)。すっ飛ばしながらザっと読んだだけでは間違えてしまいます(英語でなく、上のような日本語で文章を読んだとしても、うっかりすると間違えてしまいそうです)ので注意が必要です。

anyoneとwhoeverのどちらを選ぶか?

『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST8 PART6」131-134(p. 236)では、「この会議の目的は、合併のスケジュールをはっきりさせることです。取締役会に質問がある人には、そのための時間が豊富に用意されています」という趣旨の箇所に空欄を作り、次のような設問を設けています。

—— with questions for our Board of Directors will be given ample time to ask them.

選択肢の中にAnyoneとWhoeverがあり、どちらかが正解です。さてどっちでしょう…?

正解はAnyoneです。以下に述べる内容を知っていれば瞬時に解ける問題ですが、anyoneもwhoeverも「誰でも」という意味だよな?くらいのあいまいな知識しかないと、両者の見分けが付かずに、勘で答えることになってしまいます。

anyone

anyoneは、anybodyと基本的には同じ意味で、代名詞です。肯定文で「誰でも」、否定文で「誰も(…ない)」、疑問文で「誰か」という意味を表します。

Anyone can do that. (誰でもそれくらいできる。)

Anyone can’t do that. (誰もそんなことはできない。)

Can anyone do that? (誰か、そんなことできるか?)

冒頭の設問も、空欄にはAnyoneが入り、「取締役会に質問がある人は誰でも、彼ら・彼女らに質問する豊富な時間が与えられます」(直訳)という意味になります。

whoever

次にwhoeverについて見ていきましょう。whoeverは基本的に関係代名詞です(各文法書では「複合関係代名詞または複合関係副詞である」などとも説明されます)。「…する人は誰でも」( = anyone who)、または「誰が…しようとも」( = no matter who)という意味を表します(※)。

したがって、必ず常にwhoeverイコールanyone who、とは限りません。上のとおり、whoeverがno matter whoと同義の場合もあるためです。ネット上の記事(このエントリーもネット上の記事ですが^^;)にはこの点がおおざっぱで、あたかも、必ず常にwhoeverイコールanyone whoであるかのように書いてあるものもありますので注意しましょう。

『新英和中辞典』(第7版,研究社,2003年)にはそれぞれ次の例文が載っています。

Whoever comes is welcome. (来る人は誰でも歓迎する。)

Whoever calls on me, tell him [her, them] I’m out. (誰が訪ねてきてもいないと言いなさい。)

英語の文法の授業やテキストなどで「関係詞節」や「関係代名詞節」という言葉を聞いた/目にしたことがあると思います。その言葉のとおり、関係代名詞は節を作ります。上の例文でいうと、次のように整理できます。

Whoever comesが名詞節。かつ、文の主部。isが文の述語動詞。この場合のWhoeverはAnyone whoと言い換え可能です。

Whoever calls on meが副詞節。この場合はNo matter who calls on meと言い換え可能です。

冒頭の設問・解説

冒頭の設問の場合、

Whoever has questions for our Board of Directors will be given ample time to ask them. (= Anyone who has questions for our Board of Directors will be given ample time to ask them.)

上のような文なら、Whoever (Anyone who) has questions for our Board of Directorsが名詞節かつ主部となり、正しい形になります。冒頭の設問はそうではないので、Anyoneの方が正答です。

なお、ampleはTOEICでしばしば目にする形容詞で、「広々とした」「大きい」「豊富な」といった意味を表します。覚えておきましょう。

read … closely(…を精読する、…を念入りに読む)

今回は、「知らないと解けない」(かつ、大学受験英語などであまり見かけないので、TOEICで苦戦する人が多い)表現を取り上げます。

『ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Reading』(原題は韓国語)(YBM, 2022年)の「TEST7 PART5」130(p. 202)に、次の問題が出てきます。

Editors at Benchley Press are skilled at reading —— to correct errors and polish the prose.

選択肢は(A) sensibly, (B) perfectly, (C) tightly, (D) closelyです。さて正解はどれでしょう…?

正解は(D) closelyです。「Benchley出版の編集者たちは、原文を精読し、誤りを修正して文を完成させることに長けています」という意味になります。

(A) sensiblyは「分別良く」、 (B) perfectlyは「完全に」、 (C) tightlyは「きつく」「しっかりと」、 (D) closelyは「非常に注意深く」「入念に」といった意味ですので、パッと見、どれが正解でもいいような気がしてきます。

ところがread … closelyで「…を精読する、…を念入りに読む」という熟語になります。上の問題は、そのことを知っているかどうかを問うています。個人的には、もし仮に、ネイティブの方と上のような会話になったとして、例えばsensibly(問題の答えとしては不正解)を使っても、(状況にもよりますが)こちらの言いたいことは伝わる(意をくみ取ってくれる)ような気がします。ですが、正しいちゃんとした英語としてはread…closelyとするべき、ということかと思います。

「知らないと解けない」「かつ、大学受験英語などであまり見かけないので、苦戦する人が多い」ような単語・熟語をTOEICはしばしば問うてきます。この辺りは、コツコツ一つずつ覚えていくしかない、といったところかと思います。

「…おき」と「…ごと」

今回は、英語の話題でもあり、日本語の話題でもあるようなエントリーです。

本エントリーの読者の皆さまは、「…おき」と「…ごと」の違いや、それらを英語でどう言うかを考えたことがありますでしょうか?

仮に、ある人が賃貸マンションに住んでおり、マンションの更新が2年に1回だとします。更新なしの年を白丸○で、更新ありの年を黒丸●で表すと、次のようになります。この場合、マンションの更新(黒丸●)は「1年おき」とも「2年ごと」ともいえます。

○●○●○●…(以下続く)

英語では、どちらも

every other [second] year

または

every two years

です。

もし3年に1回(すなわち「2年おき」「3年ごと」)の場合、

every third year [three years]

になります。every third yearだと、最初の年から数えて3番目の年。every three yearsだと、3年を1単位としてまとめて考える、のようなイメージです。

上の例から分かるとおり、序数詞(secondやthirdなど)やevery otherには単数名詞が続きます。基数詞(twoやthreeなど)には複数名詞が続きます。

まとめると、「…おき」と「…ごと」は、上の各例のように、英語だと数字は同じ。日本語だと表現によって数字が異なりうる、といえます。

ただし、少しややこしいですが、「…おき」と「…ごと」を区別せず、同じ意味で用いる場合―そういう場合は日本語の日常会話でもあります。英語でもあるようです―の例文として、各辞典には次のようなものが載っています。

電車は5分おきに走っています。
The trains run every five minutes [at five-minute intervals].
(『新英和中辞典』第7版,研究社,2003年)

「空港バスは何分おきですか」「20分おきです」
“How often does the airport bus run?” “Every twenty minutes.”
(『ジーニアス英和辞典』第5版,大修館書店,2014年)

上の各例文は、「…分おき」だからといって、生真面目にevery four minutesやevery nineteen minutesとは書いていません。あるいは、日本語の「5分おきに走っています」や「20分おきです」の方が「5分(20分)おきです」と「5分(20分)ごとです」を生真面目に区別せず、同じ意味で用いている、ということかもしれません。